はじめに
近年、サイバー攻撃の高度化と多様化に伴い、企業や組織は自らのセキュリティ体制を見直す必要性に迫られています。その中で注目されているのが OSINT(Open Source Intelligence)、すなわち「公開情報を活用したインテリジェンス」です。OSINTは、外部に公開されている情報を収集・分析することで、潜在的な脆弱性や攻撃対象を特定する手法として、サイバーセキュリティ分野で広く利用されています。
OSINTとは何か?
OSINTは、政府機関、企業、個人が公開している情報を対象に、インターネット上で自由にアクセス可能なデータを収集・解析する調査手法です。これには以下のような情報が含まれます:
- ドメイン情報(WHOIS、DNSレコードなど)
- IPアドレスの範囲
- 使用中のSaaS(Software as a Service)サービス
- GitHubなどのコードリポジトリ
- SNS(Twitter、LinkedInなど)での発言やプロフィール
- 技術ブログや公開されたドキュメント
サイバーセキュリティにおけるOSINTの役割
サイバーセキュリティの観点から見ると、OSINTは主に以下の目的で活用されます:
1. 攻撃対象の列挙(Attack Surface Enumeration)
2. 脆弱性の発見
3. ソーシャルエンジニアリング対策
SNS上の社員の投稿から、内部の技術スタックや業務プロセスが漏れることがあります。これらの情報は、フィッシング攻撃やなりすましの材料となるため、OSINTによる監視が有効です。
OSINTツールと技術
OSINT調査には、以下のようなツールが活用されます:
- Shodan:インターネットに接続されたデバイスの検索エンジン
- theHarvester:メールアドレスやドメイン情報の収集
- Maltego:関係性分析と可視化
- SpiderFoot:自動化されたOSINT収集ツール
- Amass:サブドメインの列挙とマッピング
これらのツールを組み合わせることで、効率的かつ網羅的な情報収集が可能になります。
まとめ
OSINTは、攻撃者が利用する情報源でもあり、同時に防御側が脆弱性を事前に発見するための強力な手段でもあります。企業は自らの公開情報を定期的に監査し、不要な情報の削除やアクセス制限を行うことで、攻撃対象領域を最小化することが求められます。
サイバーセキュリティにおけるOSINTの活用は、単なる情報収集にとどまらず、リスク管理とインシデント予防の中核を担う重要な戦略です。
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