2025年も後半に突入した今週、世界経済は複数の重要イベントに揺れ動きました。アジア新興国の成長、米国の貿易赤字、OPEC+の原油政策、日本の食品インフレ、そして米中関係の緊張など、各国の経済政策と市場の反応が交錯する一週間となりました。
ベトナム:第2四半期GDPが6.2%増、ASEANの成長エンジンに
ベトナム統計局が7月6日に発表した第2四半期のGDP成長率は前年同期比6.2%増と、予想を上回る力強い回復を示しました。この成長は、ASEAN地域の中でも特に注目されるもので、以下の要因が寄与しています。
観光業の回復:中国人観光客の戻りが顕著で、ホテル・飲食業の売上が急回復。
政府のインフラ投資:高速道路や港湾整備が進み、物流効率が向上。外資系企業の進出も加速。
フィリピン・インドネシア:インフレ鈍化で金融緩和の可能性
フィリピン:食品価格の安定と輸入燃料価格の下落がインフレ抑制に寄与。中央銀行は「年内の利下げを検討する余地がある」との見解を示しています。
両国ともに、金融緩和による景気刺激策が現実味を帯びてきており、株式市場では銀行株や不動産株が買われる展開となっています。
アメリカ:雇用は堅調も、貿易赤字がドル高を招く雇用統計(6月)
米労働省が発表した6月の雇用統計では、非農業部門雇用者数が**+18.5万人と堅調な伸びを示し、失業率は3.7%**で横ばい。賃金上昇率はやや鈍化しており、インフレ圧力は緩和傾向にあります。
貿易統計(5月)
一方、7月3日に発表された貿易統計では、財・サービスの赤字が715億ドルと前月から大幅に拡大。
ドル高が輸入を加速し、製造業の価格競争力が低下して輸出が伸び悩む構図が鮮明になっています。
OPEC+:原油増産検討でインフレ圧力の緩和へ
この動きは以下のような影響をもたらします。
エネルギーコストの低下:企業の収益改善につながり、株式市場では製造業や運輸業が恩恵を受ける。
中国:製造業PMIは50.2、構造的課題が重しに
中国国家統計局が発表した6月の製造業PMIは50.2と、わずかに拡大圏を維持。
しかし、以下の構造的課題が依然として景気の重しとなっています。
不動産市場の低迷:新築住宅販売が前年比で2桁減。地方政府の財政悪化も深刻。
地方債務問題:インフラ投資の継続に制約が生じており、景気刺激策の効果が限定的。
消費者信頼感の低下:若年層の失業率が高止まりしており、消費マインドが冷え込んでいる。
政府は減税や補助金などの対策を講じていますが、民間投資の回復には時間がかかる見通しです。
日本:食品インフレが加速、家計と市場に影響
帝国データバンクの調査によると、7月の食品・飲料品の平均値上げ幅は前年比15%超と見込まれています。
このインフレは単なる家計負担の問題にとどまらず、以下のような波及効果を生んでいます:
消費の先送り:家計が支出を控えることで、小売業や外食産業の売上が減少。
企業業績の悪化:コスト増により利益率が低下。特に中小企業への影響が大きい。
銀行の貸出姿勢の変化:企業の信用リスクが高まり、金融機関が慎重姿勢に転じる。
これらの動きは、日銀の金融政策判断にも影響を与える可能性があり、円相場では「インフレによる円買い圧力」が強まる展開も想定されます。
米中関係:関税期限と重要会合が市場の分岐点に
7月8日~9日にかけて、米中間で関税一部停止の期限が訪れます。
この期限の延長の有無が、世界市場に大きな影響を与える可能性があります。
延長されれば:保護主義の後退と受け止められ、リスク選好が強まり株高・ドル高の流れに。
期限切れとなれば:米中緊張再燃と判断され、安全資産(円・金)への逃避が進む可能性。
このイベントは、短期的な為替・株式市場の方向性を左右する重要な分岐点となります。
#今週の世界経済ニュースヘッドライン
■Kishioka Design Blog
■Kishioka-Design日誌(はてなブログ)
■note