Kishioka-Designの日誌

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2025年7月6日~7月12日:今週のITニュースヘッドライン

2025年7月6日~7月12日:今週のITニュースヘッドライン

2025年7月第2週:AIとテクノロジーの進化が加速する一週間

2025年7月6日から12日までのこの一週間、テクノロジー業界、特にAI分野では目覚ましい進歩と動向が見られました。自律型エージェントの始動、非2進法AIチップの量産開始、そして大手企業の戦略転換など、AIの「実行力」が技術、企業、さらには法規制の面で一気に加速している様子が浮き彫りになりました。

【AI技術の最前線】

Manus AI:実世界で自律的に動作するAIエージェントが始動

期間中最も注目されたニュースの一つは、Manus AIの始動です。これは、大規模言語モデルと実行ツールを統合したAIエージェントで、人間の指示を解釈し、実際の操作や判断を自律的に実行する能力を持っています。特に「GAIAベンチマーク」では人間以上のタスク実行能力を記録し、旅行経費精算や報告書作成といった「面倒な作業」を丸ごとこなす“パーソナルAI秘書”の登場が現実味を帯びてきたと報じられています。この技術は、私たちの生活やビジネスにおけるAIの活用範囲を大きく広げる可能性を秘めています。

中国が「非2進法AIチップ」を世界初量産

AIのハードウェア面でも大きな進展がありました。中国が世界で初めて「非2進法AIチップ」の量産を開始したことが報じられています。従来の2進法(0と1)に限定されないこのチップは、AIの処理能力や効率を飛躍的に向上させる可能性があり、AI開発における国の競争力を大きく左右する要素となるでしょう。一方で、この技術がAIの「私たちを守る」側面だけでなく「私たちを監視する」側面にも利用される時代が始まったという指摘もあり、技術の倫理的な利用に関する議論も活発化しています。

Huaweiが次世代SoC「Kirin 9030」を発表

中国のテクノロジー大手Huaweiは、最大20%の性能向上、高度なアーキテクチャ、省エネ性能の向上を実現した新しいシステムオンチップ(SoC)であるKirin 9030を発表しました。7nmまたは5nmプロセスで製造され、5GおよびAIサポートを統合しているとされており、次世代スマートフォンやAI対応デバイスの性能を牽引する可能性があります。

【企業戦略と市場動向】

Intel、AI担当CTO設置と大規模リストラを発表

大手半導体メーカーのIntelは、AI開発を強化するため新たにAI担当CTO職を設置することを発表しました。同時に、大規模な人員削減も行われ、AIへの転換に本格的に取り組む姿勢を示しています。この動きは、PCやデータセンター製品の価格に影響を与える可能性があり、デジタル生活インフラ全体の方向性に直結すると見られています。AI分野での競争が激化する中で、大手企業が事業構造を大きく変革する動きが今後も続くことが予想されます。

AIツールの収益化課題が浮上

AIユーザーの97%が無料でツールを利用しており、テクノロジー企業が収益を得られていないという課題が指摘されました。もし18億人のユーザー全員が月額20ドルを支払えば、AI市場は現在の120億ドルではなく、4,320億ドルに達する可能性があると試算されています。これを受け、企業はプレミアム機能、広告、パートナーシップなど、代替の収益化方法を模索している状況です。AI技術の普及と同時に、その持続可能なビジネスモデルの確立が急務となっています。

IT関連イベントと消費者動向

Amazonプライムデーが7月8日から開催

消費者向けの大きなイベントとしては、Amazonプライムデー2025が7月8日から11日まで開催され、エレクトロニクスやAmazonバイスの限定セールが実施されました。

スマートオーディオグラスやスマートフォンの新製品

Xiaomiは新しいスマートオーディオグラスを世界展開し、超音波スピーカー、デュアル音漏れ防止、エコーキャンセル、IP54耐性、最大10時間のバッテリー寿命などの特徴を備え、わずか83ユーロで提供されると報じられました。また、itel City 100やMotorola Moto Gといった手頃な価格帯のスマートフォンも紹介され、市場の多様性が示されました。

IT・DX関連の展示会も開催

今週は、ものづくり分野の最新技術が一堂に会する「ものづくり ワールド 東京」が7月9日から11日まで幕張メッセで開催されました。製造業向けの最新技術や機器、ソフトウェアが集まり、設計・製造ソリューション、機械要素技術、次世代3Dプリンタなど10の専門展で構成されています。また、生成AI活用やDX推進などの旬なテーマに関するセミナーも多数開催され、スマートファクトリー化を目指す企業にとって貴重な情報収集の場となりました。

【その他のトピック】

GrapheneOSの悪用とデジタル権利

カタルーニャ警察は、組織犯罪グループが高度なプライバシーと暗号化機能を持つGrapheneOSを搭載したGoogle Pixelスマートフォンを悪用していると報告し、法執行機関によるデータアクセスが困難になっている実態を明らかにしました。また、「Stop Killing Games」運動および関連するEU請願が、デジタルゲームの所有権に対する出版社のコントロールに異議を唱え、消費者のデジタル権利保護を求める動きが活発化しています。
この一週間は、AIの進化が加速する一方で、その社会実装における倫理的課題やビジネスモデルの確立、さらにはデジタル権利の保護といった多岐にわたる側面が議論された、非常に示唆に富む期間となりました。来週以降も、AIが私たちの生活にどこまで深く浸透していくのか、その動向から目が離せません。
 
 
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