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2025年7月20日~7月27日:今週の世界経済ニュースヘッドライン

2025年7月20日~7月27日:今週の世界経済ニュースヘッドライン

2025年7月20日から7月27日にかけて、世界経済は、各国の経済政策、貿易摩擦地政学的リスクといった複合的な要因によって大きく動きました。特に、米国と日本間の関税合意や、主要経済圏のインフレ動向が注目されました。

【主要国の経済動向】

米国経済:関税政策とインフレの動向

米国経済は、トランプ政権下の「アメリカ第一主義」に根ざした関税政策が引き続き中心的な課題となっています。7月に入り、消費者物価指数(CPI)が前年同月比2.7%上昇し、2ヶ月連続で上昇率が拡大したことから、関税措置が物価に与える影響が改めて認識されています。特に、関税引き上げにより輸入価格が上昇し、これが最終的な販売価格に転嫁され、インフレを加速させる可能性が指摘されています。
米国シンクタンクのケイトー研究所は、インフレ率が2025年後半から2026年初頭にピークに達した後、低下すると予測しています。企業は、在庫の積み増し、タリフ・エンジニアリング(関税率の低い製品分類への調整)、サプライチェーンの移管、USMCA(米国・メキシコ・カナダ協定)の活用、保税倉庫の活用など、様々な方法で関税の影響を緩和しようとしています。
このような状況の中、7月24日には日米間の自動車・自動車部品に関する関税合意が発表されました。当初25%が想定されていた相互関税が15%に引き下げられたことで、有識者からは「想定よりも良い合意内容だった」との評価が聞かれました。この合意は、日本の自動車輸出において25%の関税率を一時的に回避できる点で重要ですが、米国の平均関税率3.3%と比較して依然高水準であり、中長期的な不確実性は残るとされています。

中国経済:減速懸念と政策対応

中国経済は、不動産市場の低迷と内需の回復の遅れにより、依然として減速懸念が払拭されていません。2025年第2四半期の実質GDP成長率は前年同期比5.2%と、前期の5.4%から減速したものの、政府目標はクリアしています。しかし、消費者物価指数(CPI)が予想を下回り、デフレ圧力が再燃する懸念があります。
これに対し、中国人民銀行は景気下支えのため短期的な流動性供給を継続する方針を示しており、一部の地方政府では不動産市場安定化に向けた追加措置が導入され始めています。中国経済の減速は、世界のサプライチェーンコモディティ価格にも影響を及ぼし続けるとみられています。日本企業においても、42%が中国経済の減速の影響を受けており、生産・調達プロセスの移管を検討する企業も増えています。

欧州経済:回復の兆しと金融政策

欧州経済では、全体的な景気回復シナリオに期待が寄せられる一方で、インフレ抑制と成長のバランスが課題となっています。欧州中央銀行(ECB)は、7月下旬の金融政策決定会合政策金利を据え置きましたが、9月には25ベーシスポイントの利下げを行うとみられています。
ユーロ圏では、一部の製造業PMIが低調であるものの、サービス業は比較的堅調を維持しており、スタグフレーションへの懸念が完全に払拭されたわけではありません。また、米国との間で関税協議が継続されており、米国が30%の関税を示唆する一方、EUは報復関税や反威圧措置を示唆するなど、貿易摩擦のリスクも存在します。

日本経済:円安と日銀の金融政策

日本経済は、円安の進行が引き続き大きな注目点となっています。日米間の関税合意を受けて、一時的に円が対ドルで買い戻される場面が見られましたが、構造的な円安圧力は継続しているとの見方が優勢です。
日本銀行は金融緩和策の継続を表明していますが、円安と輸入物価の高騰が企業収益や家計に与える影響が懸念されています。特に、7月下旬に開催される日銀の金融政策決定会合では、2025年度の物価見通しが上方修正されるとみられており、今後の金融政策の動向が注目されます。賃金上昇圧力はインフレ加速の可能性も指摘されています。

地政学的リスクと新興国経済】

高まる地政学的リスク

グローバルな秩序の分断化が進む中、地政学的リスクは企業戦略における喫緊の優先課題となっています。特に、中東地域における緊張の高まりはエネルギー価格や食料価格に影響を与え、投資家のリスク回避姿勢を強めています。これは、企業の物流、契約、調達戦略に直接的な影響を及ぼし、企業は「最高地政学責任者(CGO)」の設置を検討するなど、リスク対応を強化しています。半導体産業は短期的な需要変動の影響を受けつつも、AIやデータセンター需要に支えられ、サイバーセキュリティ関連企業の株価も堅調に推移しています。

新興国経済の成長鈍化

アジア新興国・地域の経済成長は、米国の関税引き上げの影響で下方修正されています。アジア開発銀行(ADB)は、2025年の成長率見通しを4.7%に下方修正しました。これは、主要な成長エンジンである中国経済の減速や、貿易摩擦の激化が背景にあります。
一方で、中・東欧諸国の経済は個人消費が成長を下支えしており、西バルカン6カ国のGDP成長率は2025年に3.0%になると見込まれています。しかし、これらの地域も国内需要、送金、インフラプロジェクトが成長の原動力となる一方で、地政学的リスクや貿易環境の変化といったリスク要因も抱えています。

 

 
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