Kishioka-Designの日誌

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SBOMとは何か?ソフトウェアの透明性を支える新たな標準

SBOMとは何か?ソフトウェアの透明性を支える新たな標準


SBOM(Software Bill of Materials)とは何か?

●ソフトウェアの透明性とセキュリティを支える新たな標準

近年、ソフトウェアの脆弱性サプライチェーン全体に深刻な影響を及ぼす事例が増加しています。こうしたリスクに対処するために注目されているのが「SBOM(Software Bill of Materials)」です。SBOMは、ソフトウェアを構成するすべてのコンポーネントとその関係性を一覧化した文書であり、ソフトウェアの透明性とセキュリティを確保するための重要な手段です。

SBOMの役割と重要性

SBOMは、以下のような目的で活用されます:
  • 脆弱性の迅速な特定と対応
    あるライブラリやモジュールに脆弱性が発見された場合、SBOMを参照することで、どの製品やサービスにそのコンポーネントが含まれているかを即座に特定できます。これにより、影響範囲の把握とパッチ適用が迅速に行えます。
  • ライセンス管理とコンプライアンスの確保
    オープンソースソフトウェアを利用する際、SBOMによりライセンス情報を明確にし、法的リスクを回避できます。
  • サプライチェーン全体の可視化
    ソフトウェアは単一企業だけでなく、複数のベンダーや開発者によって構成されています。SBOMはその全体像を把握するための基盤となります。

SBOMの作成と共有:サプライチェーン全体での協力が不可欠

SBOMの作成は、単一企業の責任では完結しません。製品に組み込まれるすべてのソフトウェアコンポーネントについて、サプライチェーンに関与する各社が協力してSBOMを作成・共有する必要があります
例えば、あるIoTデバイスメーカーが製品を開発する際、OSや通信ライブラリ、センサー制御ソフトなど、複数の外部ベンダーの技術が組み込まれています。これらのベンダーがそれぞれのSBOMを提供することで、最終製品のSBOMが完成します。

SBOMの標準化とツール

現在、SBOMの標準化に向けて複数の仕様が策定されています。代表的なものには以下があります:
  • SPDX(Software Package Data Exchange)
    Linux Foundationが推進する標準で、オープンソースライセンス情報の記述に強みがあります。
  • CycloneDX
    OWASPが開発したSBOM仕様で、セキュリティ重視の設計が特徴です。
  • NTIA SBOM Minimum Elements
    米国商務省の国家電気通信情報局(NTIA)が定義した、SBOMに最低限含めるべき要素。
これらの仕様に対応したSBOM生成ツールも多数登場しており、CI/CDパイプラインに組み込むことで自動生成・更新が可能です。

SBOMの未来:法規制と企業責任

米国では、2021年の大統領令により、政府調達においてSBOMの提出が義務化される方向に進んでいます。日本でも、経済産業省がサイバーセキュリティ対策の一環としてSBOMの活用を推奨しています。
今後、SBOMは「セキュリティの証明書」としての役割を担い、企業の信頼性を左右する要素となるでしょう。

まとめ

SBOMは、ソフトウェアの安全性・透明性を確保するための不可欠な要素です。サプライチェーン全体での協力と標準化された管理が求められる中、企業はSBOMの導入と運用を戦略的に進める必要があります。
 
 
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