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2025年9月29日~10月5日:今週の世界経済ニュースヘッドライン

2025年9月29日~10月5日:今週の世界経済ニュースヘッドライン

米政府閉鎖の影と世界経済の減速懸念

2025年9月最終週から10月第1週にかけての世界経済は、新たな不確実性の霧に包まれました。最大の焦点となったのは、米国における連邦政府機関の一部閉鎖という政治的な混乱です。これにより、金融市場が羅針盤とする重要経済指標の発表が遅れるという異例の事態への懸念が浮上し、投資家は今後の金融政策や景気の先行きを判断する上で重要な手がかりを失いかねない状況に直面しました。一方で、欧州や中国では景気減速を示すデータが相次ぎ、世界経済の成長エンジンに対する不安が改めて意識される一週間となりました。本記事では、この期間に起こった世界経済の主要な動きを3つのテーマに分けて詳しく解説していきます。

【米国】政府機関閉鎖の波紋 - 経済指標の遅延と市場の不透明感

今週の金融市場を最も揺るがしたニュースは、米国で10月1日から始まった連邦政府機関の一部閉鎖です。新会計年度の開始までに与野党の予算案交渉がまとまらず、一部の政府機能が停止に追い込まれました。この影響は単なる行政サービスの停止に留まりません。市場参加者が最も懸念しているのは、労働省や商務省などが発表する経済指標の公表が遅延、あるいは停止する可能性です。特に、連邦準備制度理事会FRB)が金融政策を決定する上で最重要視する雇用統計や消費者物価指数(CPI)といったデータが予定通りに出てこないとなれば、市場は視界不良の中を進むことを余儀なくされます。
FRBはこれまで、データ次第(データ・ディペンデント)で金融政策を決定する姿勢を明確にしてきました。インフレ抑制と景気維持のバランスを取るという極めて難しい舵取りを迫られる中、その判断材料となる最新の経済データが提供されないとなれば、11月に予定されている連邦公開市場委員会FOMC)での議論にも大きな影響を及ぼすことは避けられません。市場では、政府閉鎖が長期化すれば、FRBは追加利上げなどの金融引き締めに対してより慎重にならざるを得ないとの見方が広がりました。しかし、それはインフレが再燃した場合に対応が後手に回るリスクもはらんでおり、不確実性の高まりはリスク回避の動きを誘いました。
こうした状況下で週末10月3日に発表された9月のISM非製造業景気指数は、50.0という結果に終わりました。これは市場予想の51.8や前回の52.0を大きく下回り、景気拡大・縮小の分岐点である50まで低下したことを意味します。米経済の約3分の2を占めるサービス業の景況感に急ブレーキがかかった可能性が示唆され、政府閉鎖問題がなくても景気の足取りが怪しくなってきているのではないかとの懸念を強める内容でした。政治的混乱と景気減速の兆候という二重の逆風を受け、週を通じた株式市場は上値の重い展開となり、為替市場では安全資産とされる円やスイスフランが買われる場面も見られました。政府閉鎖問題の今後の展開と、それに伴う経済指標の発表スケジュールが、当面の市場の最大の注目点となるでしょう。

【欧州】景気減速が鮮明に - ドイツ・イタリアの低迷とフランスの財政リスク

米国が政治問題に揺れる一方で、欧州では経済のファンダメンタルズ(基礎的条件)に対する懸念が深まっています。ユーロスタットが発表したユーロ圏の2025年第2四半期(4~6月期)の実質GDP成長率(確報値)は、前期比+0.1%と、第1四半期の+0.6%から大幅に鈍化しました。この停滞の主因となっているのが、域内経済の二大牽引役であるドイツとイタリアの不振です。特に「欧州の機関車」と称されるドイツ経済は、製造業の低迷が深刻です。エネルギー価格の高止まりや、最大の貿易相手国である中国の景気減速が直撃し、輸出と生産が伸び悩む構造的な問題を抱えています。7月の鉱工業生産は域内全体で微増にとどまり、景気が足踏み状態にあることを裏付けました。
インフレは依然として欧州中央銀行(ECB)が目標とする2%を大きく上回っており、ECBは金融引き締めを続けざるを得ない状況です。しかし、利上げは企業の借入コストを増加させ、個人消費を冷え込ませる副作用も持ち合わせています。景気後退のリスクを高めながらもインフレと戦わなければならない「スタグフレーション」への警戒感が、欧州市場に重くのしかかっています。
さらに今週、新たなリスクとして市場が意識し始めたのがフランスの財政問題です。政府の財政赤字削減計画に対する市場の信頼が揺らぎ、フランス国債の利回りが上昇。ドイツ国債との利回り差(スプレッド)が拡大する場面が見られました。これは、かつての欧州債務危機を想起させる動きであり、一部の投資家の間で警戒感を呼び起こしました。もしフランスの財政問題が深刻化すれば、それは一国の問題に留まらず、ユーロ圏全体の金融システムを揺るがす火種となりかねません。ECBは、利上げによる金融引き締めを進める一方で、域内の金融市場の安定も維持しなければならないという、より一層複雑な政策運営を迫られています。米国発の不透明感に加え、欧州内部の構造的な弱さが改めて露呈した一週間だったと言えるでしょう。

【アジア・日本】中国経済の停滞と円高に揺れる日本市場

アジア経済の動向に目を向けると、引き続き中国の景気回復の遅れが最大の懸念材料となっています。中国国家統計局が発表する製造業購買担当者景気指数(PMI)は、依然として拡大・縮小の節目である50近辺での一進一退が続いており、力強い回復には程遠い状況です。不動産市場の低迷は依然として深刻で、地方政府の財政悪化や個人消費の伸び悩みにも繋がっています。政府は矢継ぎ早に景気刺激策を打ち出していますが、その効果は今のところ限定的であり、経済活動の本格的な再活性化には至っていません。世界の工場・市場としての役割を担う中国経済の停滞は、サプライチェーンを通じて日本やドイツといった輸出大国の企業業績に直接的な打撃を与えるため、その動向は常に注視されています。
こうした外部環境の悪化を受けて、日本の株式市場も不安定な値動きとなりました。週明け9月29日の東京株式市場では、米国の政府閉鎖リスクなどを背景に投資家がリスク回避姿勢を強め、安全資産とされる円が買われました。一時1ドル=148円台まで円高が進行したことを嫌気し、自動車や電機といった輸出関連株を中心に売りが膨らみ、日経平均株価は大幅に下落する場面がありました。企業が想定する為替レートよりも円高が進むと、海外で稼いだ利益が目減りするため、業績への悪影響が懸念されます。
一方で、週の後半にかけては、国内の政治要因が相場を下支えしました。与党・自民党の総裁選挙に関連して、各候補者から経済対策や財政出動に前向きな発言が出たことを受け、新たな景気刺激策への期待感が広がりました。これにより、建設や内需関連の銘柄が物色され、相場全体がやや持ち直す動きも見られました。このように、今週の日本市場は、米国の政治リスクという外部要因による円高圧力と、国内の政策期待という内部要因が綱引きする展開となりました。世界経済の減速懸念が強まる中、日本経済が内需主導で底堅さを維持できるかどうかが、今後の市場の焦点となりそうです。

まとめと来週の展望

今週の世界経済は、米国の政府機関閉鎖という予期せぬ政治リスクに見舞われ、先行きの不透明感が一段と高まりました。景気の現状を正確に把握するための経済指標が滞る可能性は、中央銀行の政策判断を困難にし、市場の混乱を招きかねません。同時に、欧州と中国では景気減速の兆候がより鮮明になり、世界経済の成長に対する楽観的な見方は後退しました。
来週以降の市場の最大の注目点は、引き続き米国の政府閉鎖問題の行方です。与野党の交渉が進展し、早期に政府機能が正常化するのか、あるいは混乱が長期化するのかによって、市場のセンチメントは大きく左右されるでしょう。それに伴い、遅延が懸念される経済指標、特に米雇用統計の新たな発表スケジュールがいつになるのかも重要な焦点となります。また、欧州や中国から発表される新たな経済指標が、景気減速の底入れを示すのか、それとも更なる悪化を示すのかも注意深く見守る必要があります。不確実性の高い相場環境が当面続くと予想されるため、投資家は引き続き慎重な姿勢でニュースを注視していく必要がありそうです。
 
 
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