Kishioka-Designの日誌

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2025年10月12日~10月18日:今週のITニュースヘッドライン

youtu.be

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日本、インターネットが“日常のニュース入手源”でテレビを上回る

日本国内で、インターネットが日常的なニュース取得手段として、初めて民放テレビを上回ったという調査結果が発表されました。
調査を実施したのは、Japan Press Research Instituteで、2025年度(あるいはそれに近い期)に「日常的に利用しているニュースソースは何か」というアンケートで「インターネット」が46.5%を占め、初めて民放テレビの46.1%を上回ったというものです。
これは、ニュースの受け手側のメディア環境が確実に変化していることを示しています。かつてメインだったテレビの優位が揺らぎ、スマホ/PCを介したネットニュース、SNSやウェブ媒体が主戦場になりつつあります。
技術・サービス提供側から見れば、ニュース配信・編集・流通の仕組みも変革の余地が大きいということです。例えば、テレビ番組の長尺ニュース枠よりも、ネット上の即時更新・マイクロコンテンツ型の方が、利用者にマッチしてきたと解釈できます。
企業・メディアは、この変化を踏まえて「どのチャネルを強化すべきか」「どうやってユーザーを獲得・維持すべきか」「インターネット上での広告/課金モデルはどうあるべきか」といった戦略を再考する必要があります。
また、情報リテラシーフェイクニュース対策といったテーマも、テレビからネットへ主戦場が移る中で、より重要になってくるでしょう。
今後、日本でニュースの“第一選択肢”がテレビからネットへ移行していくという流れは、他の先進国でも同様である可能性が高く、グローバルなメディア変革の一端を日本の調査が示したとも言えます。

Toshiba Corporationが12枚プラッター積層HDD技術を発表、2027年40TB化を視野に

ストレージ市場において、HDD(ハードディスクドライブ)の技術革新がまた一歩進みました。Toshibaが、3.5インチドライブにおいて業界初となる「12枚プラッター(ディスク)積層」技術を確認し、これを将来的に2027年に40TBクラスの製品化を目指すと発表しました。
これまでの3.5インチHDDでのプラッター搭載数は10枚が業界一般だったところ、Toshibaはガラス基板を用いた薄型・高精度プラッターを採用することで20%の積載枚数増加を実現したというものです。
この技術革新が意味するところは、データセンター/クラウドインフラにおけるストレージ容量のさらなる拡張余地という点です。40TBという大容量が実現されれば、同じ設置スペースや冷却・電力条件のもとで、より多くのデータを格納できるようになります。
一方で、HDDという媒体の宿命である「アクセス速度」「ランダム書き込み性能」などでは、SSD(ソリッドステートドライブ)との差は依然としてあります。とはいえ、コストあたり容量という面ではHDDが依然有力であり、Toshibaの発表はそのポジションを維持・強化する動きと読めます。
企業・システム設計者は、こうした大容量HDDの動向を注視すべきです。特に「ビッグデータ」「アーカイブストレージ」「冷たいデータ(あまりアクセスされないデータ)」「規模の大きなログ/監視データ」などの用途で、HDDが再び注目される可能性があります。
また、技術的には「プラッターの薄型化」「ガラス基板化」「積層方式」という構成がHDDの次世代モデルとして鍵になっており、競合他社(例えばSeagate TechnologyやWestern Digital)の動きにも影響を与えそうです。
2027年という製品化ターゲットも示されたことで、導入検討のある企業は逆算してシステム刷新やアクセス戦略を立てる良いタイミングと言えるでしょう。

グローバルPC出荷が2025年第3四半期に8.2%増、AI対応PCの伸びが牽引

世界のパソコン(PC)市場が、2025年第3四半期に前年比約8.2%増となったという報告が出ました。出荷台数は6900万台超で、背景にはOS(Windows 10)のサポート終了(10月14日)に伴う買い替え需要と、「AI対応PC」への移行があると分析されています。
特に注目すべきは、「AI PC」が2025年中に全体出荷台数の31%を占めると予測されており、2024年の15%から大きくジャンプしています。さらに、2029年までにはAI PCが全体の55%を占める可能性があるともされており、インフラ/エンタープライズ用途における“AI対応ハードウェア”への転換が本格化していることを示しています。
この傾向から導かれるポイントとして、企業やエンドユーザー向けPCの購買戦略が変化してきていることが挙げられます。単純にCPUやメモリ・ストレージを増やすだけでなく、AIアクセラレーター(NPUなど)やAIワークロードを想定した設計・機能がPC選定の重要要素となってきました。
加えて、OSサポート期限(Windows 10終了)という“外部要因”がリプレース需要を引き起こしています。ハードウェアベンダー/販売店はこの期を活用したアップセル・買い替え施策を強める必要があります。
また、IT部門としては「AI PCをどう活用するか」「旧PCからの移行タイミング」「OS/アプリケーションのAI対応状況」「周辺環境(例えばファン・冷却・電源・ネットワーク)やセキュリティ/管理体制」などを整理しておくべきでしょう。
さらに、これまで“消耗品としてのPC”だったものが、AI処理を行う“プラットフォーム”へと変容しつつあるため、IT資産管理(ITAM)・ライフサイクル管理(LCM)の観点からも見直しが求められています。

Meta Platforms、AIチャットボットにおけるティーン向け保護を強化:保護者向け制御機能を導入

ソーシャルメディア大手Metaが、ティーン(18歳未満)ユーザーのAIチャットボット利用に関して、新たな保護者向け機能を発表しました。具体的には、保護者が子どもの「AIキャラクターとの1対1のチャット」を無効化できる、特定のチャットボットだけをブロックできる、チャットのテーマに関する広範なインサイト(全内容ではなく大まかなテーマ)を取得できるといったものです。
この動きは、MetaのAIキャラクターがティーンユーザーと「フリーティング(ちょっと恋愛めいた)会話」をしていたという批判を受けての対策で、AIチャットボットが未成年に与える影響を巡る議論が背景にあります。
Metaによれば、AIキャラクターとのチャットを無効化しても、MetaのAIアシスタント(教育・案内用途)自体は使え続けるようにし、かつティーン用アカウントには「PG-13相当の内容フィルタリング」が適用されるというものです。 
今回の発表は、AI技術を用いたチャットボット/コンパニオンのサービス提供者が直面する「倫理・規制・利用者保護」の課題が、実際に商用レベルで顕在化してきた証と言えます。特に未成年ユーザーにとって、AIとの関わり方が安全面で慎重に設計されるべき段階に入っており、企業には透明性・説明責任・設計段階での保護措置(“privacy by design”や“safety by design”)が求められています。
また、保護者・教育現場・政策当局にとっても、子どものデジタル体験がAIを介して拡大する中、どのようなガイドラインを設けるかが焦点になってきます。AIチャット体験がゲームやSNSに続く“日常的なインタラクション”になった場合、これらの施策が先行的に構築されている企業の優位性にもつながるでしょう。

米国、NSO Group(スパイウエア企業)に対してWhatsApp利用禁止命令:スパイウエア市場にも変化

米国連邦裁判所が、イスラエルのスパイウエア企業NSO Groupに対し、WhatsAppおよびそのインフラを用いた攻撃を永久に禁止する差し止め命令を下しました。加えて、以前の陪審判決により支払が認められていた約1.67億ドルの懲罰的損害賠償を、4百万ドル程度へと大きく引き下げました。
この訴訟は、NSOがWhatsAppの脆弱性を突いて、ユーザーのスマホに「ペガサス(Pegasus)スパイウエア」を仕込み、多数のジャーナリスト・人権活動家などを対象としていたというもので、2019年に発端を持つ長期間の法的争いでした。
今回の判決が重要な点は、「インフラを用いた攻撃を禁止する」という差し止めの効力であり、単なる金銭賠償に留まらない司法対応という点です。プラットフォームを隠れみのとしてスパイ活動を行う企業・国家的プレイヤーにとって、法的な“アクセス拒否”という手段が現実化したという意味があります。
技術・サービス提供側には、暗号通信アプリ・メッセージングプラットフォームが“攻撃対象”として注目されているという警鐘になっています。サービス運営者は、ゼロクリック攻撃・脆弱性悪用・インフラを狙ったスパイウエアベンダーの動きを想定した防御・監視体制をより強化する必要があります。
また、スパイウエア市場や監視ソリューション提供企業にとっても、“合法的な警察/治安用途”の名のもとに提供される製品・サービスが、法的・倫理的・ガバナンス的な監視を受ける時代になっていると言えます。ユーザー・市民のプライバシー保護が技術競争の中で重要な指標になってきています。

GITEX Global 2025(ドバイ)でスマートモビリティとAI技術が一堂に:トラックレス・トラムなど披露

中東ドバイで開催されている世界最大級のテック/AI展示会、GITEX Global 2025(開催期間:10月13日〜17日)において、スマートモビリティ分野やAI・IoT・都市インフラ分野の革新的技術が展示されるなか、同市の交通当局が“トラックレス・トラム”(軌道不要トラム)など先進的プロジェクトを発表しました。 
このトラムは、軌道を敷設せずにAI制御+センサー/車両制御システムによって走行を可能にするという構想であり、都市交通における固定インフラ依存を軽減し、将来的な柔軟な移動サービスの実現に向けたデモとして注目を集めました。GITEXには180ヵ国から6,800社以上の出展があり、スタートアップ2,000社というスケールも示されています。
こうした展示会の場は、単なる技術披露に留まらず、国・地域のデジタル戦略(例えばUAEがAI国家戦略を推進中)やスタートアップ・投資の集積を促すプラットフォームとしても機能しています。交通・都市インフラという従来“重インフラ”分野であっても、AI・センサー・自動運転などのソフトウェア・システム技術が主役になってきたことを象徴しています。
国内の交通事業者・都市計画担当者もこのような展示会で示された技術を「我が国の導入可能性」という視点で注視すべきです。例えば、軌道敷設が難しい地域/既存路線を活性化したい地域などで、トラックレス型の新交通システムが選択肢になりうるかもしれません。
また、スタートアップ視点では、こうした大型イベントは“グローバル展示・提携・資金調達”の機会です。中東という地理・政策的な有利さを活かした技術展開や地域連携の動きにも目を向けるべきでしょう。

ドバイ警察、GITEXでAIパトロール車・スマートステーションを披露

GITEX Global 2025の他の目玉として、ドバイ警察(Dubai Police)が「AIパトロール車」「スマート警察ステーション(無人・自動化型)」を出展することを発表しました。
AIパトロール車とは、車両に搭載されたカメラ・センサー・AI分析システムによって、交通取締・市街監視・巡回業務を高度に自動化・効率化する構想です。スマート警察ステーションは、人が常駐しなくても、来訪手続き・通報受付・監視・証拠収集などをAI/ロボット/通信ネットワークを活用して行える施設というものです。
このような公共安全分野でのAI・スマート都市技術の採用は、デジタル化・効率化・将来予測・自律運用といったテーマと直結しています。技術提供企業にとっては「セキュリティ×スマートシティ」が新たな市場領域であることを示しており、自治体・警察・公共インフラ事業者にとっても検討すべき領域が拡がっています。
ただし、こうした技術導入には「プライバシー」「倫理」「制度/法律との整合性」「運用後の監視・説明責任」という観点も不可欠です。特に市民のデータを扱う公共機関であるだけに、透明性と説明可能性のある設計が求められます。
日本企業・自治体でも、こうした海外モデルを「ただ真似る」だけでなく、自国の法制度・住民感覚・インフラ条件に即して“どう導入できるか”を検討する時期に来ています。

インド・ケララ州、GITEXにITパビリオン出展:28社がAI/クラウドサービスを披露

GITEX Global 2025に出展した「インド・ケララ州ITパビリオン」が、96平方メートルの規模で出展を果たし、同地域から28社が参加しています。展示内容はAI、データ解析、サイバーセキュリティ、クラウドサービス、アプリ開発、DevOpsと多岐にわたります。 
ケララ州は、地元ITパーク(Technopark, Infopark, Cyberpark)を核に、産学連携・官民連携によるIT振興を行っており、今回のグローバル展示会参加はその成果と国際展開の意欲を象徴しています。
このような地域/州レベルのIT産業振興モデルは、グローバルな技術・サービス展開の入口として捉えることができ、同時に日本の地方自治体・地方企業にも今後のヒントになるでしょう。特に、地方発の「クラウドサービス」「グローバルアプリ」「デジタル人材育成」という観点で、ケララ州の事例は注目に値します。
企業側からすると、このような出展から「提携先」「技術供与」「人材交流」「地域特化ソリューション」といった接点を掘る好機でもあります。IT産業は単なる大手都市集中から、地域分散・グローバル分散へとシフトしつつあると言えます。

グローバル貿易/技術供給チェーンに緊張:米国が中国の輸出規制に「デカップリング」警告

米国財務長官が中国による「希土類・重要鉱物の輸出規制」について警鐘を鳴らしました。中国がレアアース・重要鉱物を含む製品の輸出に新たな許可を要求する動きに対して、米国側は「世界が中国から分離(デカップリング)する可能性がある」と警告しています。
これらの鉱物は、電子機器、電気自動車、AI/半導体製造などテクノロジー産業にとって不可欠な資源であり、一国による供給制限はグローバルなサプライチェーンに影響を及ぼします。米中間の関係悪化が、技術・部品・資源の分断に拍車をかける可能性があり、企業戦略としては「代替供給ルート」「サプライチェーンの多元化」「部材の国内調達強化」などが改めて重要視されそうです。
特に日本企業にとっても、レアアース希少金属の調達先や加工体制を見直す契機になるでしょう。また、技術輸出・部材輸出管理・国際協調という観点でも、各国政府・産業界が注目すべきテーマです。
さらに、デジタル産業基盤(半導体、電池、スマートフォンなど)を支える「物理資源・材料」の制約が、ソフトウェア・サービスの競争以上にボトルネックになっているという構図を浮き彫りにしています。これは「ハードウェアファースト/素材ファースト」の技術戦略が再び脚光を浴びていることを示しており、技術ビジネスモデルの再検討を促すものです。

S&P Globalが「With Intelligence」を18億ドルで買収へ:フィンテックデータ戦略加速

金融・データ分野でもIT/デジタル技術に関する動きがあり、S&P Globalが「With Intelligence」というファンド・プライベートマーケット向けデータ分析企業を18億ドルで買収することで合意したと報じられています。
この買収の狙いは、S&P Globalが既に保有する企業データベース・取引データに加え、With Intelligenceのプロプライエタリ(独自)ファンドデータを統合することで、プライベートマーケット/資産運用分野の情報と分析強化を実現するためということです。
このように、金融サービス・フィンテック分野においても「データ+AI+分析サービス」が成長エンジンとなっており、IT/デジタル技術は単なる支援技術ではなく、ビジネスモデル・プロダクトそのものを変える要素になっています。
企業戦略的に言えば、データ関連企業のM&A、デジタル・アナリティクス供給チェーン、クラウドAPI型の情報提供サービスが今後さらに拡大する可能性があります。特に、非公開企業/プライベート市場という“情報が散在し蓄積されづらい”領域でデータの価値が高まっており、IT部門・事業部門とも「内部データ+外部データ統合」「アナリティクスの高度化」「DX(デジタルトランスフォーメーション)の次段階」が重要です。

 

 
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