Kishioka-Designの日誌

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AI最新ニュース要約(2025年10月21日)

AI最新ニュース要約(2025年10月21日)

Google、米国とインドで約240億ドルをAIインフラに投資へ

米大手テック企業Googleが、米国およびインドにおいて合計約240億ドル(約3兆円弱)を、AIインフラ構築に投資する計画を発表しました(内訳はインドに約150億ドル、米サウスカロライナ州に約90億ドル)という報道です。
このニュースのポイントは、AIモデルそのものの開発だけでなく、それを支える大規模な演算インフラ(データセンター、海底ケーブル、電力・冷却設備など)に巨額投資を行うという点にあります。インドでは、アーンドラプラデーシュ州ヴィシャカパトナムにAIハブを設け、国際海底ケーブルが着地するゲートウェイも整備予定で、インド国内外のデジタルサービス需要を捉える狙いもあります。米国内でもサウスカロライナ州で大規模データセンターを拡張するなど、地域経済・雇用への波及も重視されています。
背景には、生成AI/大規模言語モデル(LLM)の需要急増、クラウド/AIサービス提供の地理的分散化、各国政府によるデジタル・AI政策支援、そして米中を中心としたAI覇権競争という流れがあります。特にインドは高成長市場かつ英語・多言語の人材が豊富で、Googleにとって将来の成長拠点と位置付けられています。
この投資の意義としては、①AI計算資源のボトルネックを解消することでモデル性能およびサービス展開スピードが加速する、②地域経済・雇用創出という社会価値も発揮できる、③インド等の新興市場を巻き込んでグローバルプレゼンスを強化できる、という三つが挙げられます。一方で今後の課題も少なくありません。例えばインフラ建設の環境負荷(電力消費・冷却設備)、各国の法規制(データ主権、AI倫理)、地域コミュニティとの調整、そしてこうした投資が果たしてAIモデル開発・サービス収益化に見合うリターンを得られるか、という点です。
また、こうした大型投資は他の企業・国にも波及し、AIインフラへの“インフラ競争”が激化する可能性があります。特に日本を含むアジア・欧州の企業・政府としてもこの流れをどう受け止め、自国のポジションをどう確立するかという視点が問われています。今後、Googleが具体的な施設計画・スケジュールを公表する中で、地域雇用・エネルギー政策・データガバナンスが焦点になるでしょう。

Seoul 国際航空・防衛展で無人・AI武器が多数披露される

韓国・ソウルで開催された「Seoul International Aerospace & Defense Exhibition (ADEX) 2025」において、600社以上・35か国が参加し、無人機/AI強化兵器が多数展示されたという報道です。
この展示会では、自律型榴弾砲、AI制御の自律ドローン(「自殺型ドローン」と報じられている)、新型戦闘機「KF-21」の展示などがあり、韓国が防衛分野においてAI・無人化技術を本格導入する姿勢を強めていることが浮き彫りになりました。そこには地域の緊張(特に北朝鮮)、輸出拡大を狙う防衛産業の成長志向、そしてAI軍事転用リスクという三重のテーマがあります。韓国政府は2026年の防衛予算を前年比8.2%増の66.3兆ウォン(約471億ドル)に設定しており、防衛産業を成長エンジンに据えていることも背景にあります。
このニュースを整理すると、防衛分野でAIが次の“戦闘技術革新”の鍵になってきていることが明らかです。無人・半自律兵器、AIによる状況判断・制御系、さらにはドローンを使った自律攻撃という組み合わせは、従来の有人兵器と比べてコスト・リスク・反応速度で優位になり得ます。その一方で、倫理・国際法(例えば自律型殺傷兵器制限条約)、誤作動・ハッキングリスク、第三国への拡散(輸出)など課題も大きいです。韓国の展示会参加企業は輸出市場も見据えており、米国・カナダ・サウジアラビアとの協力も検討中とのことで、防衛産業の“AI化”がグローバルな潮流になってきています。
今後、この種の技術革新が拡散することで、AIと軍事の融合というテーマがさらに国際的な議論を呼ぶでしょう。国内の立場からも、軍民融合・AI安全保障・倫理的ガバナンスをどう位置付けるかが重要になってきます。特に日本においては、近隣の安全保障環境、そして自国の技術基盤をどう活かすかという観点で注目すべき動きです。

Citigroup、AI導入によりソフト開発者の週10万時間を解放

米大手銀行Citigroupが、社内でAIツールを導入した結果、開発者が週あたり約10万時間(≒約1万2千人月分)を新たな業務に振り向けられるようになったと発表しました。
同社は約18万人の従業員を擁し、83か国で活動していますが、AIツール(業務プロセス自動化、コード生成、テスト支援など)を浸透させたことで、従来手動や反復的だった作業を大幅に削減できたとのこと。これは金融業界におけるAI活用が「予測分析」「リスク管理」「チャットボット」などに広がっていた中、内製化も進んでいることを示す象徴的な事例です。
この成果の意味合いとしては、①人手作業の削減=コスト削減・品質/速度向上、②開発者がより付加価値の高い業務(新機能開発、戦略的分析)にシフトできる、③グローバル分散型組織におけるAI展開の“スケール”が確認できた、という点です。さらに、金融という規制・安全性が厳しい分野で実績が出ていることで、他産業・地域でも参考になるモデルとなり得ます。
一方で、チャレンジもあります。AIツール導入の際には「データ準備・ガバナンス」「バイアスや説明可能性」「セキュリティ/モデル監査」の対応が必須です。また、開発者を解放することで生じる“何をするか”という再定義も必要です。例えば、AIによって自動化されたコードの品質・保守・法的責任なども問われる時代です。企業文化やスキル、組織構造を変革する“変身”が伴います。
今後、Citigroupのような先進的企業の動きが業界全体に波及し、AI活用が“コストセンターから価値創出の源泉”へと変わる可能性があります。また、銀行・金融の枠を超えて、保険、ヘルスケア、製造、公共部門でも同様の波が来るでしょう。日本企業にも参考となる“AIによる開発生産性の飛躍”的取り組みとして十分注目です。

イタリアのニュース出版社、Google LLCの「AI Overviews」を問題視し当局に調査を要請

イタリアの新聞社団体(FIEG)が、Googleの検索結果上部に表示されるAIによる要約ボックス(AI Overviews)に対し、読者流出・広告収入減少などを理由に、イタリア通信規制当局(AGCOM)へ調査を求める正式な苦情を申し立てたという報道です。
新聞社側の主張によると、AI Overviewsがオリジナルの記事を参照せずに要約を提供することで、サイト訪問数が最大80%減少するという調査もあるとのことで、メディア収益モデルや情報流通構造への影響を懸念しています。Google側はこれらの数値を否定しています。さらに、イタリアはEUの包括的なAI規制(EU AI Act)を可決した国でもあり、AIによる情報流通・メディア影響という文脈で注目されています。
このニュースが示す点は、生成AI/要約AIがメディア産業に与える構造的インパクトです。従来、読者がニュース記事のタイトルをクリックしてサイトへ訪問し、広告収入や課金収入を得るという流れが一般的でしたが、AIがその要約を直接検索結果上で提示することで“入口”が変わる可能性があります。これは重要な収益源を失うメディア企業にとって深刻で、情報の一次ソースとしての可視性・価値・倫理的責任にも問いが及びます。
このような動きを受けて、今後は①AIによる要約・要点提示とオリジナル報道との共存の在り方、②著作権・引用ルール・リンク還元モデル、③AI出力の透明性・責任、④メディア収益モデルの再設計、などが議論の焦点となるでしょう。日本を含めた他国の新聞社・プラットフォームもこの動きを注視する必要があります。

UBS Group AG、AI戦略責任者に元JPMorgan Chase & Co.幹部を任命

スイスの金融大手UBSが、英国ロンドンを拠点にAI戦略を統括するチーフ・アートificial・インテリジェンス・オフィサー(CAIO)に、元JPMorganのエグゼクティブであり、英国キングスカレッジ・ロンドン教授でもあったDaniele Magazzeni氏を起用することを発表しました。
同氏の任務は、伝統的なAIに加えて生成AI(GenAI)、エージェントAI(自律AI)といった先端技術を活用し、業務効率改善・顧客サービス向上・デジタル変革を推進することです。UBSではすでに研究用スクリプト生成、バーチャルアバターによる顧客対応、プロジェクト「Big Rocks」といったAIプログラムを開始しており、今回の体制強化は「金融×AI」の次フェーズへ移行する意図を示しています。
このような人事の意味するところは、①金融機関がAI導入を“部門的取り組み”から“全社戦略”に昇格させている、②専門知識・学術背景を持つ人材をトップに据えてAIガバナンス・倫理・戦略を統合しようとしている、③生成AI/エージェント型AIという“次世代AI”の商用実装が金融でも本格化しつつある、ということです。
ただし、金融はリスク管理・規制遵守・データ保護の面で独特のハードルがあります。AI導入にはモデルの説明責任(Explainability)、バイアス・不正検出、監査可能性、サイバー攻撃対策が欠かせません。特に生成AIでは出力内容の誤りや不適切な内容が顧客信頼を損なう可能性があり、金融機関としては慎重な実装が求められます。UBSがどういったKPIを設定し、どのようにROI(投資対効果)を実現するか注目です。日本の金融機関にも同様の動きが波及する可能性があります。

日本政府、OpenAI に対し「漫画・アニメ文化作品の無断利用停止を要請」

日本政府が、OpenAIが開発・提供する動画生成アプリ「Sora(ソラ)」等において、日本の漫画・アニメ文化を無断で模倣・利用しているとして、同社に対して正式に停止を要請しました。
このニュースの背景には、生成AIが“スタイル模倣”“著作権作品の参照”を基に画像・動画を生成するという特徴があり、日本の漫画・アニメ文化という世界的にも重要なコンテンツがリスクにさらされているという懸念があります。日本政府は、「漫画・アニメは代替不可能な文化的資産」であるとし、知財保護およびAIと文化産業の関係を明確にすべきだと述べています。
意義としては、①AI生成物が著作物の参照を通じて生まれるという構図が現実化しており、著作者の権利・収益モデルが揺らいでいる、②国家レベルで創作文化とAI技術の接点に対して政策的な介入が始まりつつある、③この動きが世界のAI企業・著作権政策にも影響を与え得る、という点です。今後の課題としては、権利者(漫画家・アニメーター)とAI開発企業のルール設定、利用データの範囲・同意・報酬モデル、生成AIの “模倣と創造” の境界の定義、そして国際的な著作権文化財保護の枠組みが挙げられます。日本がこの分野で先行し、国際規制の潮流を牽引する可能性もあります。

日本政府関係者、漫画・アニメは“替えが効かない宝”と表明し、AI企業に無断生成防止を要望

続いて、日本国内で関連する報道として、政府関係者(文化・知財担当大臣など)が「漫画・アニメを無断生成AIが模倣することは看過できない」と発言し、AI企業に対して自主的な対応を促しました。
この発言は、「文化産業の保護」「国家ブランドとしてのコンテンツ輸出」「創作者の尊厳」という観点から出されており、AI生成コンテンツによる市場・収益流出、創作者モチベーションへの影響、さらに“日本発の文化がAIによって無断転用される”という懸念が強くなっていることを示しています。今回の場合、OpenAI側に対して法的措置を求めるというより、「自主的な対応を」と呼びかけており、日本のスタンスとして「まずは協調・自主ガイドライン+制度整備」という路線が読み取れます。
このような政府姿勢の意義として、①AI技術の進化に対して“文化的・社会的価値”を守ろうとする政策的枠組みが形成されつつある、②創作とAIの関係性を明示的に議論することで、国内外の話題化・制度化を促している、③日本のクリエイティブ産業に対する支援・守りの姿勢が強化されている、という点が挙げられます。一方で、今後は「どのような“模倣”が無断利用にあたるか」「生成AIが参照すべきデータや著作権フィルターの技術的実装」「国際的な著作権法・AI実装ガバナンスとの整合性」などの課題があります。創作者、AI企業、政策立案者が三者でルールづくりを進めることが求められます。

米国テック企業 Nvidia Corporation と日本の Fujitsu Limited が、ロボット・AIインフラで協業

Nvidiaと日本のFujitsuが、ロボット・AIインフラの構築に向けて協業する覚書を東京で発表しました。主にNvidiaGPU技術+Fujitsuの国内産業知見を生かし、ヘルスケア、製造、環境、次世代コンピューティング、カスタマーサービスといった分野を対象としています。
この協業の大きな背景には、日本の人口減少・少子高齢化という社会構造の変化があり、“人手不足を補うロボティクス+AI”という文脈があります。日本国内でAIインフラ・ロボティクス市場を成長させることで、国内産業の競争力を高め、2030年までに日本をAI・ロボット先進国にするという狙いも含まれています。Nvidia側もアジア・日本市場を重視しており、技術・マーケット両面で意義があります。
このニュースでは、①AIハードウェア(GPU等)とソフト/応用(ロボット・業務変革)の融合が進んでいる、②産学官連動・グローバル企業と日本企業の協業によるスケールアップが加速している、③日本が“単なる応用国”から“基盤構築国”へのステップを踏もうとしている、という点が読み取れます。一方、課題も存在します。例えば、国際競争の激化、国内人材の確保、産業横断の導入実績づくり、そしてロボット・AIシステムの安全性・社会受容性が挙げられます。今後、国内企業・大学・政府がこの協業をどう産業化し、成功モデルにできるかが焦点になるでしょう。

日本の新聞社グループ、AI検索エンジン Perplexity に著作権侵害で提訴

日本の大手メディア2社(Nikkei Inc.およびThe Asahi Shimbun Company)が、AI検索エンジンPerplexityを相手取り、著作権侵害を理由に東京地裁に提訴したという報道です。
訴状によれば、Perplexityがこれら新聞社のウェブ記事を無断でコピー・保存・使用し、出典明示や報酬もなく生成AIの回答に用いてきたというもの。被告側はコメントを出していませんが、新聞社側は「誤った情報が新聞社の名義で流布された」ことが信用毀損につながったとして、各社2.2 億円(約1500 万ドル)および同社のコンテンツ削除を求めています。
この訴訟の意義としては、①生成AI/AI検索エンジンがメディアコンテンツを“学習データ”“参照文献”として利用することの法的・倫理的枠組みが急速に問われている、②コンテンツ提供者(新聞社・出版社・クリエイター)とAIプラットフォーマーの力関係・収益分配構造が揺らいでいる、③日本においてもAI著作権問題が実務的な訴訟対応フェーズに入った、という点です。今後の課題として、どの程度“参照”“要約”“転用”が許されるかという著作権法の解釈、AIモデルの学習データ公開義務・フィルター機能、報酬モデル/ライセンスモデルの設計、そして国際的なルール整備が挙げられます。日本のメディア産業・クリエイティブ産業にとっては重要な分水嶺と言えます。

 

 
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