Kishioka-Designの日誌

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『Web Designing 2025年12月号』紹介レビュー

『Web Designing 2025年12月号』紹介レビュー

 
こんにちは。今回は、Webデザイン/制作・運用に携わるクリエイターやディレクターにとって、実務に直結しそうな一冊をレビューします。
それは、Web Designing誌の「2025年12月号」。最新号ならではのテーマが盛り込まれており、特に “AI” や “文章力” というキーワードに注目が集まる号です。以下、構成・注目ポイント・読みどころ・おすすめ対象・筆者視点の感想とともに紹介していきます。

基本情報

  • 書名:Web Designing 2025年12月号
  • 発売日:2025年10月18日
  • 価格:紙版/電子版ともに 1,980円(A4変型判・144ページ)
  • 出版社:マイナビ出版(隔月刊)
  • 主な特集:
    1. 「デザイン業務を変える“視点”と“仕組み” — 事例で学ぶ『AI実践ガイド』」
    2. “書く”の先にある“伝える力”を身につける — 生成AI時代の「文章力」

特集1:AI実践ガイド ― デザイン業務を変える“視点”と“仕組み”

この号の第1特集では、クリエイティブ/制作現場における “AIとの協働” をテーマに据えています。既に「未来の話」ではなく、“今”ローンチされつつある AI 技術を、実務のデザイン・業務フローにどう組み込むか、事例を交えて紹介しています。
主な構成内容としては:
  • 対談:「AIはデザイナーのパートナーとなり得るか」/川村将太(エクスペリエンスデザイナー)&小木曽槙一(プロダクトデザイナー
  • 活用事例①:「AI時代の『デザイン組織』のつくり方」/植田香梨(株式会社ログラス)
  • 活用事例②:「社内で、現場で、AIをどう活用する?」/伊藤セルジオ大輔(株式会社マネーフォワード)
  • 解説・実践編:
    • 「横断型デザイナーのAI仕事術」/林貴洋(株式会社LayerX)
    • 「AI活用ワークブック」/鈴木慎吾(株式会社つみき)
    • Figma AIのできること」/綿貫佳祐(株式会社エイチームホールディングス)
    • 「日常業務でのAIの使い方」/國光俊樹(株式会社Algomatic)
  • コラム:
    • 「問いを立てる力」がカギ! — AI活用の見極め方とプロンプトのコツ/椎橋寅次郎(株式会社Gaudiy)
    • 効率化と独自性を両立! — AI時代の制作ワークフロー構築/綿貫佳祐
この特集のポイント
  • “AI=ツール的補助” から “AI=協働パートナー”へと位置づけが変化してきた流れが明確に提示されている。
  • 組織・チーム・ワークフローというマクロ視点から、個人のスキル・ツール使いこなしというミクロ視点まで幅広くカバー。
  • 実践的な “ワークブック形式” や “Figma AIの可能性” といった具体使いどころがあり、読者として手を動かせる感触がある。
  • “問いを立てる力”など、技術以外の思考やメタスキルに光を当てており、単なる “AI使い方” にとどまらない深さを持っている。
読者にとってのメリット
  • デザイン業務において「今どこまでAIを使えるか/どう使うべきか」の地図が得られそう。
  • 組織運営・チーム開発・個人スキルという3軸を意識して読み進めることで、自分の立ち位置を整理できる。
  • “ツール紹介”だけで終わらず、“問い”や“仕組み”にも踏み込んでいるため、変化に強い思考を育てるヒントになる。

特集2:生成AI時代の「文章力」 ― “書く”の先にある“伝える力”

第2特集では、「文章力」という、Web制作・運用において軽視されがちだが重要なテーマにフォーカスしています。特に “生成AI” が文章生成において急速に進展している今、なぜ人が書く、編集・表現するという力が再び価値を持つのかを問う内容となっています。
主な構成内容:
  • 「いま、なぜ『文章力』を推すのか?」
  • Q&A形式で身につける「文章力」
  • 対談:AI時代の「文章力」のポイントは「編集力」の向上にあり!?/酒井新悟(株式会社RIDE)
  • 文章力を高めるのに役立つ本の紹介
この特集のポイント
  • 単に「書き方」ではなく「伝え方」「編集力」「思考整理としての文章」という観点で深掘りされている。
  • 生成AIが文章を高速で出せる時代だからこそ、“人ならでは”の価値をどう出していくかが問い直されている。
  • Web制作者・クリエイターが“言葉”を軽視せず、デザイン・構成・表現を包括的に捉えるマインドセットが提示されている。
読者にとってのメリット
  • デザイン・UI・開発という領域に加えて「言葉で伝える力」を強化できる。
  • クライアント/ユーザー/チーム内でのコミュニケーションにおいて、文章を起点とした設計・思考法を持てる。
  • 将来的に “AIが文章を作る” ことが当たり前になっても、“人が編集・思考する”という立ち位置を確保できる。

個人的な感想とおすすめポイント

この号を通して感じたのは、「デザイン×AI」だけでは語れず、「言葉×AI」まで含めて“クリエイターが変化に対応するための二本柱”が提示されている、ということです。特に、私が気に入った点は次の3つです:
  1. 現場感のある事例が豊富
     例えば「組織を強くする、AIとの向き合い方」といったタイトルが示すように、個人のスキルだけではなく、チーム・組織という視点での実践が多数掲載されています。これは自分ひとりで完結しないWeb制作/運用環境を理解する上で、とても参考になりました。
  2. 道具的なAI活用から“問い”を立てるフェーズへ
     “プロンプトのコツ”というコラムがある一方で、「問いを立てる力がカギ!」という観点が出てくるあたり、単なる “ツール使いこなし” を超えた思考力の強化がテーマになっているのが印象的です。
  3. “文章力”という見落とされがちなテーマに光が当たっている
     Webクリエイターはどうしても“見た目(デザイン)”や“動き(インタラクション)”に注目しがちですが、言葉・構成・伝達という側面を扱っているこの特集は、「これもあったか」と思わせる良い補完でした。
このように、制作・運用を行っている方、あるいはチーム・組織でWebプロジェクトを進めている方には、非常に実践的な刺激が詰まっていると思います。

おすすめ対象/こんな人に読んでほしい

  • Webデザイン/Web制作に関わっていて、「AIをどう使ったら良いか」を整理したい方。
  • チーム・組織でWebプロジェクトを動かしており、「AI活用」「ワークフロー変革」を模索している方。
  • “見た目”だけでなく、“言葉で伝える”媒体としてのWebに関心があるクリエイター。
  • デザイン/開発/運用という領域を横断する “横断型デザイナー”、UX/UIデザイナー、プロダクトデザイナー
  • 将来にわたって使えるスキルとして「問いを立てる力」「編集力」「文章力」を補強したい方。

気になるけれど購入を迷っている方への一言

本誌は“ハウツー本”というよりも、「今/次の時代におけるWebクリエイターの思考・仕組み・働き方を整理する”ためのガイドブック”的な位置づけです。
ですので、
  • “即ツールの使い方マニュアル”を求めている方 ⇒ ツール紹介もありますが、それだけではありません。
  • “完全初心者”でWeb制作をこれから学び始める方 ⇒ 全ページを理解しきるのには前提知識(Web制作/デザイン業務の流れ)があった方が読みやすいかもしれません。
逆に、ある程度制作経験があり、これから「AIとどう向き合うか」「言葉でどう伝えるか」を考えたいという中級~上級クリエイターには特におススメです。

まとめ

『Web Designing 2025年12月号』は、まさに“変化の波”に立ち向かおうとするWebクリエイターにとって、今読むべき一冊だと感じました。
「AI」「文章力」という二つの軸を通して、制作の現場・組織・個人がこれから身につけるべきマインドとスキルが整理されています。
時間をとってじっくり読み込むことで、来る2026年以降のクリエイティブ業務の“あり方”にヒントが得られるはずです。
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