
「期待の大型IPO銘柄が、気づけば資産の半分に…」
投資をしていれば、誰もが一度は経験する苦い瞬間。私にとって、それはデザインツール界の覇者フィグマ(Figma / FIG)でした。
2025年の上場直後の熱狂の中で購入したものの、2026年現在の評価額は、マイナス35万4,020円。
含み損は50%を超え、ポートフォリオを見るたびにため息が出る毎日。しかし、私はこの損失をただの「失敗」で終わらせないことに決めました。
今回は、フィグマを全額売却し、あえて今「国内株」へ資金を移す2026年版のリバランス戦略を共有します。
なぜ、今「損切り」なのか?
フィグマという会社自体は、デザインDXのリーダーとして素晴らしい成長を続けています。しかし、2026年の相場環境は、上場時のような「期待先行」で株価が上がるフェーズではなくなりました。
今の私に必要なのは、「いつ戻るかわからない含み損を眺め続ける時間」ではなく、「確実に成長の波が来ている場所へ資金を動かすこと」だと判断したのです。
「損出し」という最強の武器を活用する
幸いなことに、保有しているアップル(AAPL)やネットフリックス(NFLX)は利益が出ています。
ここでフィグマの35万円の損失を確定させることで、プラス銘柄にかかる税金を相殺する「損出し」ができます。これにより、実質的に数万円のキャッシュバック(税還付)を受けるのと同等のメリットが得られます。
さらに、数年間停滞していた国内株14.4万円分も同時に整理。これで、再投資に回せる約43.5万円の「戦う資金」が手元に整いました。
2026年、なぜ「日本株」なのか?
2026年の投資トレンドは、これまでの「AIソフトウェア一辺倒」から大きく変化しています。私が注目したのは以下の3つの軸です。
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フィジカルAIとインフラ: AIを動かすための「電力」や「ロボティクス」といった、実体のあるハードウェアへの需要。
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国策としての防衛・エネルギー: 世界情勢の変化に伴う、国家レベルのインフラ投資。
私が選んだ「リバランス先」候補:2026年の主役たち
再投資資金 43万5,280円 を託すのは、2026年の日本経済を牽引する「三菱グループ」の精鋭3社です。期待(フィグマ)から実利(国内大型株)へ。それぞれの詳細データと選定理由を深掘りします。
2026年1月時点:主要指標比較表
●三菱UFJ (8306)
株価目安:約2,500円
配当利回り:2.97%
PER (予想):12.5倍
主なテーマ:金利上昇・株主還元
●三菱重工業 (7011)
株価目安:約3,840円
配当利回り:0.63%
PER (予想):56.1倍
主なテーマ:防衛・次世代原発
●三菱電機 (6503)
株価目安:約4,580円
配当利回り:1.20%
PER (予想):25.6倍
主なテーマ:AIインフラ・FA回復
① 三菱UFJフィナンシャル・グループ(8306)
【役割:資産の土台を作る「高配当×金利メリット」】
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選定の決め手: 2026年3月期の配当予想は1株あたり74円と、5期連続の増配を見込んでいます。フィグマのような無配の成長株から移し替えることで、年間約7,400円(100株保有時)の現金収入が確定します。
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2026年の視点: PBR(株価純資産倍率)1.3倍台と、以前より評価は進みましたが、依然として欧米銀行株に比べれば上昇余地があります。資産の「守り」を固めつつ、着実なリカバーを狙う1本です。
② 三菱重工業(7011)
【役割:国策の巨大な波に乗る「攻めのインフラ」】
防衛予算の拡大と、世界的なエネルギーシフト。この2大潮流の交差点に位置するのが三菱重工です。
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選定の決め手: 2026年は、政府が進める防衛装備品の量産化が本格化する年。さらに、AIデータセンターの電力不足を解決する「小型モジュール炉(SMR)」の商用化議論が、同社の株価を強力にバックアップしています。
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2026年の視点: PERは50倍を超え「割高」に見えますが、これは数年先の巨大受注を市場が織り込み始めている証拠。「国策に売りなし」を信じ、長期的な資産増幅を目指すための選択です。
③ 三菱電機(6503)
【役割:AIの熱狂を「ハードウェア」で回収する】
フィグマがAIの「ソフト」なら、三菱電機はAIを動かす「ハード」の覇者です。
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選定の決め手: 2026年は、AIデータセンター向けの受変電設備や、省エネ性能を高めるパワー半導体の需要がピークを迎えています。また、停滞していた工場自動化(FA)部門も、AIによる生産性向上ブームでV字回復を果たしました。
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2026年の視点: 100株で約45万円と、現在の予算(43.5万円)を少し超えますが、単元未満株(S株)を活用してでもポートフォリオに組み入れたい1銘柄。AIの進化が止まらない限り、同社の設備需要も止まりません。
【3年後の未来予測】「持ち続ける」か「乗り換える」か、運命の分岐点
ここで、最も重要なシミュレーションをしてみましょう。2026年の今、この43.5万円を「フィグマ(FIG)で持ち続けた場合」と、「三菱UFJ(8306)に乗り換えた場合」で、3年後の2029年にどのような差が出るのかを予測しました。
パターンA:フィグマを持ち続けた「復活への祈り」
もし、このままフィグマを持ち続けた場合、元の投資額(約65万円)まで回復するには、株価が現在の約2.2倍以上に跳ね上がる必要があります。
もちろん、SaaS銘柄には爆発力がありますが、2026年以降の市場環境では「期待」だけで株価が数倍になるのは至難の業です。仮に年率15%という高い成長を3年間続けたとしても、3年後の評価額は約44万円。依然として20万円以上の赤字を抱えたまま、配当金もゼロという状態が続く可能性が高いのです。何より、「いつ上がるのか」という不安と3年間向き合い続ける精神的なコストは計り知れません。
パターンB:三菱UFJへ乗り換えた「着実な資産形成」
一方で、全額を三菱UFJなどの国内大型株にシフトした場合、景色は一変します。
まず、フィグマの損失(-35万円)を確定させることで、約7万円の税金還付(または節税)という「確実なプラス」が手元に残ります。再投資資金43.5万円にこの7万円を加え、約50万円で運用をスタートしたとしましょう。
三菱UFJが年率5%程度の安定成長を続け、さらに年3%前後の配当金を出し続けた場合、3年後の評価額と累計配当の合計は約63万円に達します。ここに、最初に得た節税メリットの7万円を合わせると、トータルで約70万円。つまり、フィグマで失った元本の約65万円を、3年後には「完全にリカバーして、さらにお釣りがくる」計算になるのです。
結論:時間は「味方」にも「敵」にもなる
このシミュレーションが教えてくれるのは、「待つことだけが投資ではない」ということです。
フィグマを持ち続けることは、いつ訪れるかわからない「奇跡の急騰」を待つギャンブルに近い状態かもしれません。対して、成長と配当が計算できる国内株への乗り換えは、「時間を味方につけて、算数で損失を埋めに行く」という極めて合理的な戦略です。
3年後の自分に、今の決断をどう報告したいか。
「あの時、勇気を出してリバランスして本当によかった」
そう自信を持って言えるように、私は今回のリバランスを断行しようと思います。

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