Kishioka-Designの日誌

Adobe/Flmora/Canva/STUDIO/CopilotなどのソフトウェアやIT関連の情報をお伝えするブログです。

新体制への期待と不安が交錯。西ロンドンダービーで散った10人のチェルシー、フラムの”魔法使い”に沈む

新体制への期待と不安が交錯。西ロンドンダービーで散った10人のチェルシー、フラムの”魔法使い”に沈む

試合概要

2026年1月7日、凍てつくような寒さのロンドン。プレミアリーグ第21節、伝統の西ロンドンダービーがクレイヴン・コテージで開催されました。ホームのフラムは直近6試合負けなしと絶好調。対するチェルシーは泥沼の4試合勝利なしという状況でこの一戦を迎えました。
チェルシーにとっては大きな転換点となる一戦でもありました。前週に監督交代の激震が走り、この日は暫定的にU-21チームのカラム・マクファーレンが指揮を執りました。スタンドには、次期監督として有力視されているリアム・ロシニアーの姿もあり、ピッチ上の選手たちにとっては生き残りをかけたアピールの場でもありました。
しかし、試合は開始早々のアクシデントによって、チェルシーにとってあまりにも過酷なシナリオへと書き換えられることになります。
 


試合展開

試合は立ち上がりから、ダービー特有の激しい球際のアプローチが繰り返される展開となりました。ホームの声援を受けるフラムは、エミール・スミス・ロウを中心にリズムを作り、左サイドのアントニー・ロビンソンが積極的に高い位置を取って攻撃の厚みを加えます。
対するチェルシーは、復帰したモイゼス・カイセドとエンソ・フェルナンデスの中盤を軸に、リアム・デラップの推進力を活かそうと試みます。序盤、エンソ・フェルナンデスの正確なコーナーキックからトシン・アダラビオヨが決定的なヘディングシュートを放つなど、停滞感のあったチームに変化の兆しが見えたかに思われました。
しかし22分、試合の運命を決定づける瞬間が訪れます。フラムのカウンターから裏へ抜け出そうとしたハリー・ウィルソンを、マルク・ククレジャが後ろから倒してしまいます。主審は当初イエローカードを提示しましたが、VARの介入を経て、決定的な得点機会の阻止(DOGSO)と判定。チェルシーは前半半ばにして左サイドバックを失い、10人での戦いを強いられることになりました。
暫定指揮官のマクファーレンはすぐさま動き、中盤のアンドレイ・サントスを下げてヨレル・ハトを投入。守備の再構築を図ります。数的不利となったチェルシーに対し、フラムは容赦なく圧力を強めます。前半終了間際にはハリー・ウィルソンがネットを揺らしましたが、これはVARによってオフサイドの判定。チェルシーは命拾いする形で前半をスコアレスで折り返しました。
後半、フラムの攻勢が実を結びます。55分、右サイドで溜めを作ったサンダー・ベルゲが正確なクロスを供給。中央で待ち構えていたラウール・ヒメネスが、マークについていたトレヴォ・チャロバーを力強く制してヘディングシュートを叩き込み、フラムが先制に成功します。
苦境に立たされたチェルシーでしたが、ここから意地を見せます。65分、疲れの見えるエンソ・フェルナンデスに代えて主将のリース・ジェームズを投入し、右サイドからの推進力を強化。すると72分、セットプレーの二次攻撃から、ゴール前のこぼれ球に反応したリアム・デラップが執念で押し込み、同点に追いつきます。デラップにとっては、チェルシー移籍後プレミアリーグ初ゴールという記念すべき一撃となりました。
勢いに乗るチェルシーは、さらにコール・パーマーを下げてジョアン・ペドロを投入するなど、逆転を狙う姿勢を見せますが、最後はフラムの「魔法使い」が試合を決めました。
81分、フラムは左サイドを崩すと、エミール・スミス・ロウのクロス気味のシュートをGKロベルト・サンチェスが弾きます。このこぼれ球を拾ったのがハリー・ウィルソンでした。エリア内で冷静にトラップし、相手ディフェンダーをかわして左足を一閃。低い弾道のシュートがゴール左隅を射抜き、フラムが勝ち越しに成功しました。
終盤、チェルシーはトシン・アダラビオヨを前線に上げてパワープレーに出ましたが、ベルント・レノを中心としたフラムの守備陣を崩すには至らず。試合は2-1で終了し、フラムが西ロンドンダービーの勝利とリーグ戦7試合無敗を手にしました。一方のチェルシーはこれで5試合勝利なし。新体制を前に厳しい現実を突きつけられる結果となりました。

スタッツハイライト

チェルシーは数的不利でありながら、xGではフラムを上回る数字を記録しました。これはセットプレーやカウンターから質の高いチャンスを作っていたことを示していますが、最終的な決定力の差、そして何より一人少ない状況での守備の強度が勝敗を分けました。

選手寸評

【フラム】

  • ハリー・ウィルソン: 本試合のマン・オブ・ザ・マッチ。決勝ゴールだけでなく、ククレジャの退場を誘発する動き、幻のゴールなど、右サイドでチェルシーの驚異になり続けました。
  • ラウール・ヒメネス エリア内での勝負強さを発揮。サンダー・ベルゲのクロスに合わせたヘディングは、ベテランらしい完璧なタイミングでした。
  • サンダー・ベルゲ: 中盤で圧倒的なプレゼンスを発揮。ボール奪取能力だけでなく、先制点のアシストなど攻撃の起点としても機能しました。
  • ベルント・レノ: 終盤のチェルシーの猛攻を冷静に対処。安定したセービングでチームに安心感を与えました。

チェルシー

  • リアム・デラップ 孤立しがちな最前線で体を張り、待望の初ゴールを記録。苦しい状況下で唯一といっていい希望の光となりました。
  • エンソ・フェルナンデス: 10人になってからも精度の高いパスでチャンスを演出。守備にも奔走しましたが、体力的に厳しい展開となりました。
  • トシン・アダラビオヨ: 古巣対決で気合の入ったプレーを見せましたが、先制点の場面ではマークが甘くなる隙を見せてしまいました。
  • マルク・ククレジャ: 22分での退場は、チームのプランをすべて台無しにする痛恨のプレー。厳しい評価を免れません。

戦術分析

フラムのマルコ・シウバ監督は、チェルシーが10人になった直後から、サイドの幅を広く使う戦術を徹底させました。特に左のアントニー・ロビンソンと右のハリー・ウィルソンを高い位置に張らせ、チェルシーの守備ブロックを横に広げることで、中央のサンダー・ベルゲやエミール・スミス・ロウが使いやすいスペースを作り出しました。
一方のチェルシーは、4-4-1のブロックで対応。数的不利を考慮し、重心を下げてカウンターを狙う形にシフトしました。後半、同点に追いついた場面までは粘り強い対応を見せましたが、交代枠の使い方が難しい状況でした。新戦力のヨレル・ハトを早い段階で投入せざるを得ず、攻撃の枚数を増やしたい終盤にカードが不足した感は否めません。
また、フラムの決勝点の場面では、チェルシーの守備陣に明らかな疲労が見て取れました。数的不利でスライドを繰り返した結果、バイタルエリアでの寄せが甘くなり、ハリー・ウィルソンに自由を与えてしまったことが敗因となりました。

ファンの反応

試合後のSNS掲示板では、両チームの明暗がはっきりと分かれました。
フラムサポーターからは、「今シーズンのハリー・ウィルソンは神がかっている」「ダービー勝利!これで欧州圏内も現実味を帯びてきた」「マルコ・シウバの戦術が完全に浸透している」といった、歓喜の声が溢れています。
一方、チェルシーサポーターからは厳しい声が相次いでいます。「ククレジャは一体何を考えていたんだ?」「5試合勝ちなし。新監督が誰になろうとこの守備の崩壊は深刻だ」「リアム・デラップの初ゴールだけが救い」「ロシニアー、早くこの惨状を救ってくれ」など、不満と新体制への不安が入り混じったコメントが目立ちます。

総評

終わってみれば、フラムの安定感とチェルシーの不安定さが如実に表れたダービーでした。フラムは数的優位を活かすための冷静なゲーム運びを見せ、エースの活躍で着実に勝ち点3を積み上げました。一方のチェルシーは、退場という自滅から始まったものの、一時同点に追いつくなどポテンシャルの高さは見せました。しかし、勝負所での脆さと集中力の欠如は依然として解決されていません。
スタンドで見守ったリアム・ロシニアー(あるいは次期候補者)のメモには、おそらく膨大な「修正リスト」が書き込まれたことでしょう。冬の移籍市場、そして新体制の本格始動に向けて、チェルシーはかつてないほどの正念場を迎えています。
西ロンドンのパワーバランスがフラムへと傾きつつあることを、改めて印象づける90分間となりました。
 

プレミアリーグの深淵に触れる、決定版の歴史書

世界最高峰のリーグがいかにして誕生し、なぜこれほどまでに人々を熱狂させるのか。日本在住のイングランド人ライター、ベン・メイブリー氏が、単なる試合記録を超えた「文化史」として描き出したのがこのシリーズです。
 
●全3巻の構成と見どころ
 
第1巻:イングランドフットボールの変遷(1850-1996)
産業革命期の誕生から、フーリガン問題に揺れた暗黒時代、そして1992年のプレミアリーグ創設までを網羅。マンチェスター・ユナイテッドリヴァプールの深いライバル関係の根源が解き明かされます。
第2巻:世界最高峰への飛躍(1996-2010)
アーセン・ベンゲル率いるアーセナルの革命、ファーガソンとの知略戦、そしてチェルシーら「ビッグ4」の台頭。イングランドフットボールが現代的なエンターテインメントへと変貌を遂げる黄金期を辿ります。
 
第3巻:新時代の覇権と戦術革命(2010-現代) 
「騒がしい隣人」だったマンチェスター・シティの台頭から、レスターの奇跡、そしてペップ・グアルディオラによる戦術革命まで。まさに今、私たちが目撃しているリーグの姿がここに完結します。
 
●本書をおすすめする理由
「なぜイングランドのファンはこれほどまでに地元クラブを愛するのか?」 その答えは、スコアボードの中ではなく、彼らのコミュニティと歴史の中にあります。
圧倒的な「現地目線」 英国出身の著者だからこそ書ける、サポーターの心理や社会背景の描写が秀逸です。
戦術とビジネスの両輪 放映権ビジネスの成功や、監督たちの戦術的な変遷も専門的に解説されています。
 
 
■Kishioka Design Blog
■Kishioka-Design日誌(はてなブログ
■note