
試合概要
2026年1月17日、プレミアリーグ第22節。スタンフォード・ブリッジには、期待と不安が入り混じった独特の熱気が漂っていた。成績不振によりエンツォ・マレスカ前監督を解任したチェルシーは、リアム・ロシニアー新監督を招聘。この試合は、新指揮官にとってのリーグ初陣となった。
対するブレントフォードは、直近の公式戦3連勝と絶好調。西ロンドンのライバルを相手に、勢いそのままに敵地での勝ち点3を狙う構えだ。停滞感の打破を目指すチェルシーと、上昇気流に乗るブレントフォード。今後のシーズンを占う重要なダービーマッチは、ホームのチェルシーが2-0で勝利を収め、新時代の幕開けを告げる結果となった。

試合展開
●前半:新体制の産みの苦しみと、執念の先制弾
試合は、新体制のコンセプトがまだ浸透しきっていないチェルシーの隙を突くように、ブレントフォードが主導権を握る展開で始まった。開始わずか1分、ブレントフォードのケヴィン・シャーデが強烈なシュートを放ち、チェルシーの守備陣を脅かす。このシュートはディフレクションしてGKロベルト・サンチェスの正面を突いたが、アウェイチームの攻撃的な姿勢を象徴する場面となった。
ロシニアー監督は、キャプテンのリース・ジェームズを先発に復帰させ、さらに新加入のアレハンドロ・ガルナチョをスタメンに抜擢。攻撃的な布陣を敷いたが、序盤はビルドアップのミスが目立ち、ブレントフォードの鋭いカウンターに晒される場面が続く。前半20分には、イゴール・チアゴのスルーパスに抜け出したケヴィン・シャーデがチャンスを演出し、守備に戻ったトシン・アダラビオヨが危うくオウンゴールを献上しそうになる決定機を作られた。しかし、ここは守護神ロベルト・サンチェスが超人的な反応で見事にセーブ。このプレーが、チェルシーに流れを呼び込むきっかけとなった。
均衡が破れたのは26分だった。敵陣左サイドで激しいプレスを仕掛けたエンソ・フェルナンデスが、相手のクリアボールを身を挺してブロック。そのこぼれ球がペナルティエリア内のジョアン・ペドロの足元へ転がる。ブラジル人ストライカーは迷わず左足を振り抜き、ゴール左隅に豪快に突き刺した。当初はオフサイドの判定が下されたものの、VARチェックの結果、ゴールは認められた。スタンフォード・ブリッジは歓喜に包まれ、チェルシーが貴重な先制点を手にした。
その後もチェルシーはペドロ・ネトやアレハンドロ・ガルナチョの両翼を活かした攻めを見せるが、追加点は奪えず。ブレントフォードもマティアス・イェンセンやミッケル・ダムスゴーを中心に反撃を試みたが、前半は1-0のまま終了した。
●後半:耐える時間帯を乗り越え、交代策が的中
後半に入ると、1点を追うブレントフォードが怒涛の攻勢を仕掛ける。特に前線のイゴール・チアゴへのロングボールを起点にした攻撃は脅威で、チェルシーは自陣に釘付けにされる時間が続いた。イゴール・チアゴの放った強烈なヘディングシュートがわずかに枠を外れるなど、いつ同点になってもおかしくない緊張感がスタジアムを支配した。
この状況を打破すべく、ロシニアー監督は57分に早くも動く。トシン・アダラビオヨとアレハンドロ・ガルナチョを下げ、ウェスレー・フォファナとアンドレイ・サントスを投入。守備の強度を高めつつ、中盤の構成力を強化した。この交代策によってチェルシーは徐々に落ち着きを取り戻し、相手の勢いを削ぐことに成功する。
そして74分、勝利を決定づけるドラマが待っていた。途中出場のリアム・デラップが、ブレントフォードの守備のミスを突いてボックス内に侵入。GKクィービーン・ケレハーがトラップを誤った隙を見逃さずボールを奪いにかかると、たまらずケレハーがデラップを倒してしまい、チェルシーにPKが与えられた。
この大一番のPKを任されたのは、チームの絶対的エース、コール・パーマー。冷静沈着にゴール右隅へと沈め、リードを2点に広げた。その後、ブレントフォードはロメロ・ドノヴァンを投入するなど最後まで攻め続けたが、チェルシーの集中した守備を崩すには至らず。アディショナルタイムの7分間も耐え凌いだチェルシーが、完封でリーグ戦6試合ぶりの勝利を飾った。
スタッツハイライト
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主な得点経過:
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26分:ジョアン・ペドロ(アシスト:エンソ・フェルナンデス)
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76分:コール・パーマー(PK)
選手寸評
●ロベルト・サンチェス
前半の決定的なピンチを防いだセーブが勝因の一つ。安定したゴールキーピングでクリーンシートに貢献。
●リース・ジェームズ
怪我からの復帰戦でキャプテンとしてチームを鼓舞。右サイドでの強固な対人守備とリーダーシップを見せた。
●エンソ・フェルナンデス
先制点の起点となったブロックを含め、攻守に渡ってハードワーク。パス精度も高く、中盤を支配した。
●ジョアン・ペドロ
ストライカーらしい嗅覚で先制ゴールを記録。前線からの守備も献身的で、新体制の戦術にフィットする可能性を示した。
●コール・パーマー
プレッシャーのかかるPKを確実に決め、エースの仕事を完遂。攻撃の創造性という面でも欠かせない存在感。
●リアム・デラップ
途中出場から値千金のPKを獲得。持ち前のスピードと強引な突破が試合の流れを決定づけた。
戦術分析:ロシニアー体制の初陣で見えたもの
ロシニアー監督は、前体制のポゼッション重視のスタイルを引き継ぎつつも、より「インテンシティ(強度)」と「縦への速さ」を強調した戦術を採用した。
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ハイプレスからのショートカウンター:先制点の場面に象徴されるように、敵陣での守備意識が非常に高かった。エンソ・フェルナンデスを一段高い位置でプレーさせ、相手のビルドアップを制限する意図が見えた。
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サイドの活用と個の突破:ペドロ・ネトとアレハンドロ・ガルナチョに対し、1対1の状況を作るようなパス供給が見られた。特にネトの突破力は、今後も重要な武器になるだろう。
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柔軟な交代策:後半、押し込まれる時間帯に守備的な変更を即座に行い、重心を安定させた判断は評価に値する。
課題としては、守備陣と中盤の連携ミスから決定機を許す場面が散見されたこと。特にビルドアップ時のリスキーなパス回しは、今後強豪相手にどう修正していくかが鍵となる。
ファンの反応
試合後、SNSやスタジアム周辺ではポジティブな声が多く聞かれた。
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「ようやく勝った!ロシニアー新監督の下で、チームの顔つきが変わった気がする。」
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「ジョアン・ペドロのシュートは痺れた。VARで認められた瞬間、スタジアムが爆発したよ。」
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「サンチェスのあのセーブがなかったら、全く別の試合になっていただろうね。彼が今日のMVPだ。」
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「ガルナチョがチェルシーのユニフォームを着てスタメンで出ているのはまだ不思議な感じだけど、ワクワクする補強だ。」
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「PKを勝ち取ったデラップの積極性が素晴らしい。彼のような若手がどんどん出てきてほしい。」
総評
苦しい時期を過ごしてきたチェルシーにとって、この勝利は単なる勝ち点3以上の意味を持つ。新監督リアム・ロシニアーの初陣で、宿敵ブレントフォードを完封で下したことは、チームの自信回復に大きくつながるはずだ。
新戦力の融合、エースの得点、そして守護神の活躍。ポジティブな要素が詰まったこの一勝をきっかけに、チェルシーがここから上位進出への反撃を開始できるか。次節以降の戦いからも目が離せない。
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