
試合概要
熱狂的なサポーターで知られるマルセイユは、ロベルト・デ・ゼルビ監督の下、ポゼッションを重視する攻撃的なスタイルでリヴァプールを迎え撃ちました。一方、アルネ・スロット体制で安定感を増すリヴァプールは、プレミアリーグでの波を欧州の舞台で払拭したい重要な一戦。結果は、要所を締めたリヴァプールが、ドミニク・ソボスライの鮮烈なフリーキックを皮切りに、後半の追加点とダメ押しゴールで3-0のスコア以上の力差を見せつける形となりました。
試合展開
超満員、6万5千人以上の観衆が作り出す地響きのような大歓声の中、試合は幕を開けました。マルセイユはキックオフ直後から、デ・ゼルビ流のビルドアップを展開。センターバックのバンジャマン・パバールを起点に、中盤のジェフリー・コンドグビアが巧みにボールを引き出し、リヴァプールのプレスをいなそうと試みます。
前半10分まではマルセイユのペースでした。ティモシー・ウェアが右サイドを突破し、鋭いクロスを供給。中央のアミーヌ・グイリが合わせるシーンを作るなど、ホームチームが主導権を握ります。しかし、リヴァプールの守備陣は冷静でした。キャプテンのフィルジル・ファン・ダイクが圧倒的な存在感でクロスを跳ね返し続け、イブラヒマ・コナテとのコンビでマルセイユの攻撃をことごとく跳ね返します。
リヴァプールは前半15分を過ぎたあたりから、ライアン・フラーフェンベルフが中盤でボールを回収できるようになり、徐々にカウンターの鋭さを増していきます。23分には、この日先発に名を連ねたウーゴ・エキティケがゴール前で決定的なチャンスを迎えましたが、ここはマルセイユの守護神ヘロニモ・ルジが鋭い反応でセーブ。ヴェロドロームの熱気は最高潮に達します。
均衡が破れたのは、前半アディショナルタイムでした。フラーフェンベルフが中央を力強く持ち上がったところで倒され、ゴール正面、絶好の位置でフリーキックを獲得します。キッカーはドミニク・ソボスライ。スタジアム中にブーイングが響き渡る中、彼が放った一撃は壁の下を鮮やかにくぐり抜け、ゴール右隅に突き刺さりました。計算し尽くされたかのような低弾道のシュートにルジも一歩も動けず、リヴァプールが貴重な先制点を奪って前半を折り返します。
後半、マルセイユはギアを上げます。デ・ゼルビ監督はアミーヌ・グイリを下げ、ピエール=エメリク・オーバメヤンを投入。さらに中盤にフレッシュな選手を送り込み、同点を狙って猛攻を仕掛けました。しかし、ここで光ったのが今季リヴァプールに加わったジェレミー・フリンポンの走力でした。マルセイユが前がかりになった背後のスペースを、フリンポンとモハメド・サラーが幾度となく突き、ホームチームに心理的なプレッシャーを与え続けます。
72分、試合の行方を決定づける2点目が生まれます。右サイドを抜け出したフリンポンが、低い弾道のクロスを供給。これがクリアを試みたキーパーのヘロニモ・ルジの体に当たり、不運にも自陣のゴールマウスへ吸い込まれました。記録はオウンゴールとなりましたが、リヴァプールの執拗なサイドアタックが生んだ追加点でした。
2点のリードを得たリヴァプールは、さらに余裕を持ったゲーム運びを見せます。80分、スロット監督はエキティケに代えてコーディ・ガクポを投入。マルセイユは最後まで諦めずに攻撃を続けますが、ファン・ダイクを中心とした守備ブロックは最後まで崩れません。
そして試合終了間際の90+3分、中盤でボールを奪ったフラーフェンベルフが、絶妙なスルーパスを前線へ送ります。これに反応したガクポが冷静にディフェンダーをかわし、左足でゴールネットを揺らしました。3-0。試合終了のホイッスルが吹かれると、ヴェロドロームには静寂と一部の落胆の入り混じった空気が流れ、リヴァプールイレブンは敵地での完璧な勝利を称え合いました。
スタッツハイライト
選手寸評
【リヴァプール】
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フィルジル・ファン・ダイク: まさに壁。空中戦無敗、地上戦でも隙を見せず、クリーンシートの最大の功労者。
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ドミニク・ソボスライ: 壁の隙間を通す芸術的なフリーキックで先制。攻守にわたるハードワークも光った。
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ジェレミー・フリンポン: 爆発的なスピードで右サイドを制圧。2点目を誘発するクロスなど、新天地で価値を証明。
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ライアン・フラーフェンベルフ: 中盤でのボールキャリーと回収力が抜群。3点目のアシストを含め、攻撃の起点となった。
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コーディ・ガクポ: 短い出場時間ながら見事なダメ押しゴール。決定力の高さを見せつけた。
【マルセイユ】
戦術分析
マルセイユのデ・ゼルビ監督は、いつものようにリスクを冒したビルドアップを徹底させました。キーパーも含めた緻密なパス回しでリヴァプールのプレスを引き出し、その裏を突く狙いです。実際に前半のポゼッション率はマルセイユが圧倒していましたが、リヴァプールのアルネ・スロット監督はその「持たされている時間」を逆手に取りました。
リヴァプールは無理に追いかけ回さず、中盤に強固なブロックを形成。相手が縦パスを入れた瞬間を狙い撃ちにする「待ちのプレス」を機能させました。特にフラーフェンベルフとアレクシス・マック・アリスターの中盤コンビが、マルセイユのキーマンであるコンドグビアへのパスコースを限定したことが勝因の一つです。
また、リヴァプールは攻撃時、フリンポンの高い位置取りによってマルセイユの左サイドバックをピン留めし、サラーが自由を得る状況を作り出しました。効率重視のスロット流フットボールが、デ・ゼルビの理想主義を打ち砕いた一戦と言えるでしょう。
ファンの反応
試合後、リヴァプールサポーターからはスロット監督の采配に絶賛の声が上がっています。「プレミアでの不調が嘘のような冷静さ」「ファン・ダイクは永遠に世界最高だ」といったコメントがSNSを埋め尽くしました。
一方、マルセイユファンからは「内容は悪くなかったが、決定力の差に絶望した」「ヴェロドロームであのフリーキックを決められたらどうしようもない」といった、脱帽しつつも悔しさを滲ませる声が多く見られました。しかし、最後までチームを鼓舞し続けたファンの熱量は、リヴァプールの選手たちも試合後に敬意を表すほど素晴らしいものでした。
総評
リヴァプールにとっては、CLの舞台で再びその実力が本物であることを証明する「重要な夜」となりました。リーグ戦での苦戦を忘れさせるような集中力と、チャンスを確実に仕留める決定力。これこそが、かつて欧州を制した「レッズ」の底力です。
対するマルセイユは、スタイルを貫きながらも、個の能力と組織の完成度が融合したトップクラブを崩し切るには、まだ課題があることを露呈しました。しかし、デ・ゼルビ監督の下で見せるポゼッションサッカーの魅力は健在であり、今後の巻き返しが期待されます。
リヴァプールはこの勝利で勝ち点を15に伸ばし、リーグフェーズ上位8位以内での決勝トーナメント・ストレートインへ向けて大きく前進しました。次戦のカラバフ戦も、この勢いのまま突き進むことができるか注目です。
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