
プレミアリーグ第23節、エティハド・スタジアム。マンチェスター・シティが、最下位に沈みながらも粘り強い戦いを見せるウォルバーハンプトンを2-0で下しました。連敗を止め、首位アーセナル追撃の狼煙を上げたこの一戦を、詳細に振り返ります。
試合概要
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開催日: 2026年1月24日
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会場: エティハド・スタジアム
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スコア: 2-0(シティ勝利)
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得点者: オマル・マルムーシュ(6分)、アントワヌ・セメンヨ(45+2分)
試合展開:王者の意地と新戦力の煌めき
【前半:電光石火の先制と物議を醸したVAR】
試合前のスタジアムには、異様な緊張感が漂っていました。シティは直近のプレミアリーグで4試合勝ちなし、さらに週中のチャンピオンズリーグでは格下ボデ・グリムトにまさかの敗戦。この状況下で、ペップ・グアルディオラ監督が下した決断は、エースのアーリング・ハーランドと司令塔フィル・フォーデンをベンチに置くという衝撃的なものでした。
しかし、その不安は開始わずか6分で払拭されます。古巣対戦となったマテウス・ヌネスが右サイドから鋭いクロスを供給すると、これに反応したのは冬に加入したばかりのオマル・マルムーシュ。DFの間に見事に潜り込み、ダイレクトでゴールネットを揺らしました。この電撃的な先制ゴールにより、エティハドの雰囲気は一気に熱を帯びます。
中盤ではロドリを中心に、レイアン・チェルキ、ニコ・オライリーといった若手とベテランが融合した小気味よいパスワークを展開。33分には、アブドゥコディル・フサノフのロングフィードから再びマルムーシュが抜け出し、シュートを放つも惜しくもポストを直撃。この直後、イェルソン・モスケラのハンドを巡ってVARが介入し、プレミアリーグデビュー戦となったファライ・ハラム審判がモニターを確認。結果的に「自然な位置」としてPKは与えられませんでしたが、シティが圧倒的な圧力でウルブスを窒息させにかかった時間帯でした。
前半終了間際の45+2分、試合を決定づける2点目が生まれます。ベルナルド・シルバのスルーパスに抜け出したアントワヌ・セメンヨが、エリア内で巧みなステップから左足で振り抜き、ゴール右隅へ鮮やかなシュートを突き刺しました。セメンヨにとってのシティ移籍後初ゴールは、前半を最高の形で締めくくる一撃となりました。
【後半:ウルブスの抵抗と守護神の壁】
後半、ウルブスのロブ・エドワーズ監督は早めに交代カードを切り、ヨルゲン・ストランド・ラーセンとロドリゴ・ゴメスを投入。これで流れが変わります。前半は完全に引いていたウルブスが、18歳の若手マテウス・マネの推進力を活かして反撃を開始。
57分にはセットプレーからジョアン・ゴメスが鋭いヘディングシュートを放ちますが、シティの守護神ジャンルイジ・ドンナルンマが超人的な反応でこれをセーブ。さらに86分にはモスケラのヘディングがクロスバーを叩くなど、ウルブスが1点差に迫るチャンスを何度も作りました。
シティは後半途中からハーランド、フォーデン、ジェレミー・ドクを投入し、試合を終わらせにかかります。セメンヨが再びバーを叩く強烈なシュートを放つなど、3点目のチャンスこそ逃したものの、新加入のマーク・グエイがディフェンスラインで驚異的な落ち着きを見せ、ウルブスの攻撃を完封。最終的に2-0でタイムアップを迎え、シティが久々の勝ち点3を手にしました。
スタッツハイライト
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支配率: シティ 64% vs ウルブス 36%
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シュート数: シティ 18本(枠内7本) vs ウルブス 8本(枠内3本)
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決定機: シティ 4回 vs ウルブス 2回
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パス本数: シティ 685本 vs ウルブス 342本
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特筆点: シティの守備陣(特にグエイとフサノフ)の空中戦勝率が80%を超え、ウルブスのロングボール戦術を無効化。
選手寸評
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オマル・マルムーシュ(MOM): ハーランド不在の穴を埋める以上の活躍。機動力と勝負強さで先制点を奪い、攻撃を牽引。
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アントワヌ・セメンヨ: 圧巻の技術で移籍後初ゴール。サイドでの推進力に加え、中央でのフィニッシュ精度も見せつけた。
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マーク・グエイ: デビュー戦とは思えない統率力。冷静なビルドアップと力強い守備でクリーンシートに貢献。
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ジャンルイジ・ドンナルンマ: 後半の決定的なピンチを救うビッグセーブ。王者の威厳を最後尾で示した。
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マテウス・マネ: 18歳とは思えない度胸。後半、左サイドから何度もシティの守備を切り崩した。
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イェルソン・モスケラ: 守備では2失点したものの、セットプレーでのターゲットとしてシティの脅威に。バーに嫌われたヘディングが悔やまれる。
戦術分析:ペップの「原点回帰」と「破壊的イノベーション」
この試合、グアルディオラ監督はハーランドという「絶対的ターゲット」を外し、偽9番に近い動きをするマルムーシュを起用しました。これにより、ここ数試合で見られた「ハーランドへの依存とパスの停滞」を解消。流動的なポジションチェンジが復活し、全盛期のシティを彷彿とさせる細かいパス交換(ピンポン・パス)が随所に見られました。
また、新戦力のマーク・グエイの起用は、ビルドアップのテンポを一段階上げました。彼の縦パス一本でウルブスのプレスを無効化するシーンは、シティに欠けていた「守備から攻撃への垂直なスピード」を補填しています。対するウルブスは、後半に4-4-2気味に変更してプレスを強め、シティのビルドアップミスを誘う戦略に切り替えましたが、ドンナルンマの個人の力によってその狙いは潰された形です。
ファンの反応
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「ハーランド外しは驚いたけど、結果としてチームが生き返った。ペップはやっぱり天才。」
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「マルムーシュとセメンヨ、冬の新戦力が即座に結果を出すのはスカウティングの勝利だね。」
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「グエイの安定感に救われた。ディアスやストーンズが不在の中でも、これで守備は安泰かもしれない。」
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「ウルブスは最下位だけど、後半の戦い方は降格するチームには見えない。次からが本番。」
総評:苦難の時期を抜け出す大きな一歩
シティにとって、この勝利は単なる勝ち点3以上の価値があります。主力の不在や不調を、新戦力と若手、そして戦術の修正で乗り越えたことは、シーズン後半戦に向けた大きな自信になるでしょう。特にマルムーシュとセメンヨのゴールは、前線のオプションを豊かにしました。
一方のウルブスは、結果こそ伴わなかったものの、後半の積極的な姿勢はロブ・エドワーズ体制の希望を感じさせるものでした。
【書籍紹介】
『となりのヤマダ君 小さくて足が遅くてケガの多い35歳のサッカー選手』
山田A子 (著), 山田直輝 (著)
本書は、そんな彼を小学生時代から知り、最も近くで支え続けてきた妻・A子さんと、山田直輝本人による「夫婦の交換日記」のような構成で綴られた、異色のサッカー・ノンフィクションです。
●この本の見どころ
「非エリート」の自覚が生んだ生存戦略 プロの世界では「小さくて足が遅い」という致命的なハンディを抱え、さらに選手生命を脅かす大ケガを何度も経験。それでもなぜ35歳(2025年現在)までプロとしてピッチに立ち続けられるのか?その驚異的なメンタリティと、泥臭いまでの生存戦略が明かされます。
妻の視点から描かれる「ヤマダ君」の素顔 「サッカー選手・山田直輝」ではなく、家でケガに苦しみ、絶望し、それでもまた立ち上がる一人の人間としての「ヤマダ君」を、A子さんが温かくも鋭い視線で描き出します。華やかなプロの世界の裏側にある、切実な日常が読者の胸を打ちます。
挫折を知るすべての大人たちへのエール これは単なるサッカー本ではありません。思い描いた夢と現実に折り合いをつけながら、それでも自分の場所で輝こうとする「再生の物語」です。仕事や人生で壁にぶつかっている人にとって、大きな一歩を踏み出す勇気をくれるはずです。
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