
2026年、私たちはかつてないほど高精細な音楽に囲まれています。しかし、どれほどサンプリングレートの数字が上がろうとも、どこか拭いきれない「デジタルの冷たさ」を感じることはないでしょうか。そんな音の飽和状態に対するひとつの回答が、FiiOが世に送り出した 「DM15 R2R」 です。
このプレーヤーが音楽愛好家、特にジャズを愛する人々を惹きつけてやまない理由は、その心臓部に宿る 24bit R2R方式のDAC にあります。今回は、この古くて新しい技術がなぜ現代のリスニングにおいて、これほどまでに心に響くのか、その核心を徹底的に掘り下げてみたいと思います。

■効率を捨て、「物理の階段」を選んだ理由
現代のオーディオ機器のほとんどは「デルタ・シグマ方式」という、計算によって音を近似値へと変換する効率的なシステムを採用しています。しかし、DM15 R2Rが選んだのは、それとは対極にある極めて贅沢で物理的な「R2Rラダー方式」です。
その内部には、驚くべきことに 192個もの超精密な抵抗器 が、まるで熟練の職人が組み上げた梯子(ラダー)のように整然と並べられています。デジタル信号のひとつひとつが、この「物理的な抵抗器の階段」を一段ずつ降りていくことで、直接アナログの波形へと変換されます。
このプロセスにおいて、音を「平均化」するような余計な計算処理は介在しません。デジタル信号をそのまま物理現象としてアナログへと解き放つ——。このストレートな変換こそが、私たちが追い求めてきた「音の鮮度」の正体なのです。
■「解像度」という言葉では語れない、真の質感
R2R DACが奏でる音をひとことで表すなら、それは「滑らかさ」です。一般的なDACが音の輪郭を鋭く、時に刺さるような鋭さで描くのに対し、R2Rの音は 驚くほど丸く、そして濃密です。
- デジタル特有のトゲの消失: 192個の抵抗器を通った音は、高域に不自然な強調がなく、ボーカルの吐息やシンバルの消えゆく余韻が、極めて自然なグラデーションで空間に溶け込んでいきます。
- 中低域の圧倒的な「体温」: R2R方式は、中音域の密度感において真価を発揮します。ウッドベースの弦が震える様子や、サックスの管の中で空気が鳴動する質感が、まさに「生身の音楽」として迫ってくるのです。
- 奥行きのある立体感: 音のひとつひとつが独立したエネルギーを持って立ち上がるため、平面的な壁ではなく、奥行きのある「ステージ」が目の前に現れるような体験をもたらします。
■「Retro」モードが呼び覚ますアナログの記憶
さらに、DM15 R2Rの魅力を加速させるのが、独自に用意された 「Retro」サウンドプリセット です。これは単なる懐古趣味のフィルターではありません。
R2R DACが持つアナログライクな特性を最大限に引き出すために、倍音の成分や音の重心を緻密に調整し、1950年代や60年代のジャズ黄金時代を彷彿とさせる、温かく艶やかな音色を実現しています。
私の愛用するJVCウッドコーンスピーカー「EX-NW1」との相性は、もはや必然と言ってもいいでしょう。ウッドコーンが持つ「木の響き」と、R2Rが描く「音の体温」。この二つが重なり合った時、CDというデジタルメディアは、かつてのレコード盤が持っていたあの濃密なエモーションを取り戻すのです。
■音楽を「聴く」から「体験する」へ
DM15 R2Rを選ぶということは、単に便利なプレーヤーを買うということではありません。192個の抵抗器が紡ぎ出す、一回性の強い、生々しい音の体験を日常に取り入れるということです。
ストリーミングの利便性も素晴らしいものですが、お気に入りのCDをトレイに乗せ、R2Rという名の「魔法の階段」を通じて音楽を解き放つ。その儀式のような時間の積み重ねこそが、趣味としてのオーディオの醍醐味ではないでしょうか。
192個の精密な抵抗器たちが、今夜も私の部屋を、最高に贅沢なジャズ・クラブへと変えてくれる。その確信があるからこそ、私はこの「DM15 R2R」という稀有な存在を選んだのです。
【製品紹介】
■FIIO DM15 R2R ポータブル CD プレーヤー
FIIOが長年培ったCD技術と最新のR&D成果が結実し、5つの核心設計により劇的な進化を遂げました。
その心臓部には、独自開発のフルバランス24bit R2R DACを搭載。クラシックな趣を感じさせる、厚みがありつつも繊細なサウンドを紡ぎ出します。単なるCD再生機に留まらず、384kHz/32bit対応のUSB DAC機能やaptX AdaptiveによるBluetooth送信、多彩なデジタル出力など、現代のライフスタイルに溶け込む多機能性を実現しました。
厚さわずか25.5mmのスリムな筐体ながら、1150mW(32Ω/バランス)の圧倒的な駆動力を誇り、バッテリー負荷を抑える「DESKTOP MODE」も完備。強化ガラスのウィンドウから覗くメカニカルな造形美が所有欲を満たす、FIIO渾身の意欲作です。
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