
■試合概要
プレミアリーグ2025-26シーズンもいよいよ大詰め、第35節。本拠地セント・ジェームズ・パークにブライトン&ホーヴ・アルビオンを迎えたニューカッスル・ユナイテッドは、泥沼の5連敗を喫しているという最悪の状況でこの一戦を迎えました。エディ・ハウ監督の進退問題も囁かれる中、チームは「プライドを取り戻す」戦いを強いられていました。
一方のブライトンは、欧州カップ戦出場権を争う絶好調のシーズンを過ごしており、日本代表のミトマ・カオルを中心とした攻撃陣がニューカッスルの不安定な守備をどう崩すかに注目が集まりました。しかし、蓋を開けてみれば、そこには残留への執念と、本拠地の大声援に背中を押された「マグパイズ」の意地の反撃が待っていました。結果は3-1。ニューカッスルが久々の勝利を挙げ、スタジアムは興奮の坩堝と化しました。
■試合展開
試合は、立ち上がりからアウェイのブライトンが主導権を握る形で始まりました。開始わずか2分、中盤のカルロス・バレバからの鋭いスルーパスにジャック・ヒンシェルウッドが抜け出し、決定的なシュートを放ちます。これはニューカッスルの守護神ニック・ポープが驚異的な反応で防ぎましたが、ブライトンの攻撃の鋭さを印象付ける幕開けとなりました。続く10分には、バレバが自らミドルシュートを放ち、強烈なカーブを描いたボールはクロスバーを直撃。ニューカッスルは序盤から冷や汗をかく展開が続きました。
しかし、耐えていたホームチームに12分、予期せぬ形で先制点が転がり込みます。ブルーノ・ギマランイスが前線へ送ったロングボールに対し、ブライトンのGKバルト・フェルブルッヘンがエリア外まで飛び出して処理を試みますが、これが目測を誤るミスに。これを見逃さなかったジェイコブ・マーフィーがいち早くボールを拾い、素早く中央へクロスを供給。ここに走り込んでいた若きストライカー、ウィリアム・オスラが無人のゴールへ頭で押し込み、ニューカッスルが先制に成功しました。オスラにとってはここ4試合で3得点目となる、波に乗る一撃でした。
勢いに乗るニューカッスルは24分、セットプレーから追加点を奪います。右サイドからのコーナーキック。ブルーノ・ギマランイスが放った精度の高いボールに、攻撃参加していた巨漢DFダン・バーンが打点の高いヘディングで合わせました。元ブライトンの選手でもあるダン・バーンの豪快なシュートがゴールネットを揺らすと、スタジアムのボルテージは最高潮に達しました。2-0という予想外のリードを奪ったニューカッスルは、その後もジョエリントンとルイス・マイリーを中心とした強固な中盤でブライトンのパス回しを分断し、前半を完璧な形で折り返しました。
後半、ブライトンのファビアン・ヒュルツェラー監督は攻撃のギアを一段上げます。ミトマ・カオルをより高い位置に張らせ、サイドバックのフェルディ・カディオグルとの連携で左サイドからニューカッスルの守備陣を切り崩しにかかりました。対するニューカッスルは、マリック・チャウとスヴェン・ボトマンのセンターバックコンビが必死のクリアで凌ぎますが、60分にブライトンの波状攻撃がついに実を結びます。
中盤でボールを保持したパスカル・グロスからダニー・ウェルベックへ。ウェルベックの絶妙なダイレクトフリックがエリア内へ走り込んだジャック・ヒンシェルウッドに渡り、これをヒンシェルウッドが冷静に流し込んで2-1。ブライトンが1点差に詰め寄り、試合の行方は一気に分からなくなりました。ここからニューカッスルは「勝ち急ぐ不安」からか、ミスが目立ち始め、防戦一方の展開を強いられます。
試合終了間際、ブライトンには同点の絶好機が何度も訪れました。途中出場のハラランポス・コストゥラスが放ったアクロバティックなオーバーヘッドキックは、再びポープのスーパーセーブに阻まれます。さらに、昨シーズンまでニューカッスルに所属していたヤンクバ・ミンテがゴール前6ヤードの地点でフリーになりますが、このシュートは無情にも枠の上へ。古巣相手の決定機を逸したミンテは頭を抱えました。
アディショナルタイムは5分。ブライトンはGKフェルブルッヘンまでもがセットプレーで前線に上がる総攻撃を仕掛けますが、これが仇となります。90+5分、クリアボールを拾った途中出場のルイス・ホールが前線へ素早く展開。ヨアヌ・ウィサが粘ってボールをキープし、左から走り込んできたハーヴェイ・バーンズへ。バーンズは対峙したディフェンダーを冷静にかわすと、右足で鋭いシュートを突き刺し、試合を決定づける3点目を奪いました。この瞬間にホイッスルが鳴り響き、ニューカッスルが執念で勝ち点3をもぎ取りました。
■スタッツハイライト
- スコア: ニューカッスル 3 - 1 ブライトン
- 支配率: ニューカッスル 38% / ブライトン 62%
- シュート数(枠内): ニューカッスル 11 (5) / ブライトン 16 (7)
- セーブ数: ニック・ポープ 6 / バルト・フェルブルッヘン 2
- コーナーキック: ニューカッスル 4 / ブライトン 9
- 警告: ニューカッスル 3(ダン・バーン、サンドロ・トナリ、ヨアヌ・ウィサ) / ブライトン 3(ジョエル・フェルトマン、ミトマ・カオル、ヤン・ポール・ファン・ヘッケ)
■選手寸評
【ニューカッスル・ユナイテッド】
- ニック・ポープ(GK): 今日の勝利の最大の立役者。足元の技術には不安を見せたが、ショットストップに関してはワールドクラス。数点の決定機を防いだ。
- ダン・バーン(DF): 古巣相手に貴重な追加点。守備でも体を張り、キャプテンシーを発揮してチームの連敗脱出に貢献。
- ウィリアム・オスラ(FW): 嗅覚の鋭さを見せた先制点。現在チームで最も信頼できるストライカーへと成長を遂げている。
- ブルーノ・ギマランイス(MF): 中盤でのハードワークと、セットプレーからのアシスト。チームの心臓として走り抜いた。
- ハーヴェイ・バーンズ(FW): 途中出場から試合を終わらせる一撃。短い時間で仕事を果たす勝負強さは健在。
【ブライトン&ホーヴ・アルビオン】
- ジャック・ヒンシェルウッド(MF): 唯一の得点を記録。狭いスペースへの飛び出しは秀逸だった。
- ミトマ・カオル(FW): ニューカッスルの徹底したマークに苦しんだ。何度かチャンスを演出したが、得点に絡む決定的な仕事はさせてもらえず。
- バルト・フェルブルッヘン(GK): 先制点に繋がった判断ミスが悔やまれる。試合を通じて落ち着きを欠く場面があった。
- カルロス・バレバ(MF): 前半は中盤を支配し、クロスバー直撃のシュートを放つなど存在感を示したが、勝利には結びつかなかった。
■戦術分析
エディ・ハウ監督は、5連敗中ということもあり、これまで以上に守備のブロックをコンパクトに保つ戦術を採用しました。特にブライトンの強力な両翼、ミトマとミンテを封じるために、サイドバックに加えて中盤のジョエリントンやトナリが常にスライドしてカバーに入る徹底ぶりを見せました。攻撃面ではポゼッションを捨て、割り切ったロングボールとセットプレーに活路を見出したことが、先制点と追加点に直結しました。
一方のブライトンは、常にボールを保持して主導権を握る自分たちのスタイルを貫きましたが、ニューカッスルの低いブロックを崩し切るまでには至りませんでした。前半の守備陣のミスによる失点が重くのしかかり、後半に追い上げを見せたものの、カウンターへのリスク管理が甘くなった隙を最後のバーンズのゴールで突かれました。
■ファンの反応
試合終了後、SNSやスタジアム周辺ではニューカッスルファンの安堵と歓喜の声が溢れました。
「ようやく勝てた!オスラは本物だ。これでエディ・ハウを信じて最後まで戦える」「ニック・ポープがいなければ5点取られていたかもしれない。彼のセーブが全てだった」といった声が多く聞かれました。
対照的にブライトンファンからは、「支配しながら勝てないいつものパターン」「守備のミスが多すぎる。欧州への夢が遠のいた」と、自滅に近い形での敗戦に厳しい評価が目立ちました。特に古巣戦で決定機を外したミンテに対しては、複雑な心境を吐露するファンも少なくありませんでした。
■総評
ニューカッスルにとっては、まさに「崖っぷち」で掴んだ大きな1勝です。内容面ではブライトンに押される時間が長く、課題は依然として山積みですが、どん底の状態から這い上がるために必要なのは「泥臭い勝利」でした。若手のオスラが台頭し、ベテランのダン・バーンやポープが踏ん張るという理想的な形で勝ち点3を手にしたことは、残り3試合に向けた大きな弾みとなるでしょう。
ブライトンにとっては、痛恨の敗戦となりました。上位進出を狙う中での取りこぼしは、最終的な順位争いに大きく響きそうです。攻撃のバリエーションは豊富ですが、勝負所での決定力と、守備の集中力の欠如が露呈した形となりました。
プレミアリーグ2025-26シーズンも残りわずか。この勝利がニューカッスルの復活の狼煙となるのか、それともブライトンがここから立て直すのか。イングランドの熱い戦いは最後まで目が離せません。
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