
現地時間2025年12月13日(土)、プレミアリーグ第16節が行われ、チェルシーは本拠地スタンフォード・ブリッジにエヴァートンを迎えました。ここ数試合、勝利から見放されトップ4争いから後退しかけていたブルーズにとって、負けられないホームゲーム。対するエヴァートンは、デイヴィッド・モイーズ監督の下、堅実な守備からのカウンターを武器に虎視眈々と勝ち点を狙います。
結果は、前半に生まれたコール・パーマーとマロ・グストのゴールを守り切ったチェルシーが2-0で快勝。待望の勝ち点3を手にしました。
試合概要
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大会: プレミアリーグ 2025-26シーズン 第16節
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日時: 2025年12月13日(土) 15:00 キックオフ
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会場: スタンフォード・ブリッジ(ロンドン)
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得点者:
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【CHE】21分:コール・パーマー
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【CHE】45分:マロ・グスト
試合展開
【前半:重苦しい空気を切り裂いた“アイス・コールド”の一撃】
ロンドンの冷たい冬空の下、キックオフの笛が鳴り響いた。チェルシーはここ4試合勝利なしという苦しい状況。エンツォ・マレスカ監督は、負傷明けのコール・パーマーを先発に復帰させ、トップ下での起用を決断した。対するエヴァートンは、モイーズ監督らしい4-2-3-1のブロックを敷き、古巣対戦となるキーナン・デューズバリー=ホールとジャック・グリーリッシュを中盤に配置してカウンターの機会をうかがう。
序盤の15分間は、予想通りの展開となった。チェルシーがボールを保持し、後方から丁寧にビルドアップを試みるものの、エヴァートンの守備ブロックは堅牢だ。ジェームズ・ターコウスキーとジェイク・オブライエンのセンターバックコンビが中央を締め、サイドにボールが出ればヴィタリー・マイコレンコが激しく寄せる。チェルシーはエンソ・フェルナンデスとリース・ジェームズが中盤でボールを散らすが、ファイナルサードでの崩しのアイデアを欠き、スタンドには早くも焦燥感が漂い始めていた。
しかし、その重苦しい空気を一変させたのは、やはりこの男だった。
21分、試合が動く。
右サイドバックのマロ・グストが、タッチライン際ではなく内側のレーン(インナーラップ)を一気に駆け上がる。ペドロ・ネトが外に張って相手DFを引き付けた瞬間、グストはハーフスペースでボールを受けると、前線の動きを見逃さなかった。
バイタルエリアでわずかにフリーになったパーマーへ、針の穴を通すような鋭いスルーパスを供給。これを受けたパーマーは、ファーストタッチで寄せてきたマイケル・キーンを軽やかにかわすと、左足を一閃。ボールは名手ジョーダン・ピックフォードの手をすり抜け、ゴール右隅へと吸い込まれた。
チェルシー先制(1-0)。
怪我の影響で本調子ではなかったエースの復活弾に、スタンフォード・ブリッジは歓喜の渦に包まれた。
先制されたエヴァートンも黙ってはいない。30分過ぎから反撃に出る。グリーリッシュが左サイドからドリブルで仕掛け、タメを作ると、オーバーラップしたマイコレンコへ。そのクロスに中央で長身FWティエルノ・バリーが合わせようとするが、ここはウェズレイ・フォファナが体を張ってクリア。こぼれ球に反応したイリマン・エンディアイのシュートも枠を捉えきれない。
チェルシーは、先制後もボールポゼッションを高めつつ、追加点の機会を窺う。左サイドのジョアン・ペドロとアレハンドロ・ガルナチョが流動的にポジションを入れ替え、エヴァートン守備陣を攪乱。特にガルナチョのスピードは脅威となっていたが、最後の精度を欠き、決定機には至らない。
前半終了間際、この日最大のハイライトが訪れる。
45分、前半アディショナルタイム目前。
チェルシーのカウンター。自陣でボールを奪ったエンソが素早く前線へ展開。ネトが右サイドを爆走し、エヴァートンの守備陣形が崩れる。ネトは一度スピードを緩めてタメを作ると、後方から全力で走り込んできたグストへ横パス。
ペナルティエリア手前、右45度の位置。グストは迷わず右足を振り抜いた。「クロスか?」と思われたその軌道は、美しい弧を描いてゴール左上のトップコーナーへ。ピックフォードが一歩も動けない、まさにスーパーゴール。
チェルシー追加点(2-0)。
立ち上がりの50分、エヴァートンに決定機。デューズバリー=ホールのコーナーキックから、ターコウスキーが打点の高いヘディングシュート。しかし、これはGKロベルト・サンチェスが横っ飛びでスーパーセーブ。こぼれ球をバリーが押し込もうとするが、ここもククレジャがライン上でクリアし、失点を免れる。このプレーが試合の趨勢を決めたと言っても過言ではない。
ピンチを凌いだチェルシーは、58分にマレスカ監督が動く。復帰明けのパーマーを下げ、アンドレイ・サントスを投入。中盤の構成を厚くし、試合をコントロールする意図が明確に見えた。サントスは投入直後から豊富な運動量でセカンドボールを回収し、エヴァートンの反撃の芽を摘んでいく。
65分にはガルナチョに代えてジェイミー・ギッテンスが登場。ギッテンスの鋭いドリブルは、疲労の見えるエヴァートン右サイドバックのジェームズ・ガーナーを大いに苦しめた。70分、ギッテンスの突破から折り返しを受けたネトが決定的なシュートを放つが、これはピックフォードが意地のセーブで防ぐ。
終盤、エヴァートンはベトを投入し、パワープレー気味に攻め込む。ロングボールを放り込み、セカンドボール争いに持ち込もうとするが、チェルシーの守備陣、特にキャプテンマークを巻くリース・ジェームズとフォファナが冷静に対応。空中戦でも競り負けず、決定的な仕事をさせない。
80分、チェルシーは最後のカードとしてジョアン・ペドロに代えて「メッシーニョ」ことエステヴァン・ウィリアンを投入。若き才能は限られた時間の中でテクニックを見せつけ、相手陣内でのキープで時間を巧みに消費した。
そして試合終了のホイッスル。
チェルシーが2-0でエヴァートンを下し、苦しい時期を乗り越える貴重な勝利を手にした。マレスカ監督はピッチに入り、殊勲のグスト、そして復帰ゴールを決めたパーマーを強く抱擁。スタンフォード・ブリッジは久しぶりの快勝に酔いしれ、「Blue is the Colour」が高らかに響き渡った。
スタッツハイライト
試合の主要データは以下の通りです。チェルシーがボールを支配し、かつ効率的にチャンスを創出したことが分かります。
※エヴァートンはCKなどのセットプレーから活路を見出そうとしましたが、流れの中での崩しには苦労した数字となりました。
選手寸評&監督コメント
【チェルシー】
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MOM:マロ・グスト (8.8/10)右サイドを支配。先制点のアシストとなる絶妙なスルーパスに加え、ハーフタイム直前のスーパーゴールで試合を決めた。攻守において圧倒的な存在感。
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コール・パーマー (7.5/10)負傷明けながら、わずかな隙を見逃さない決定力はさすが。彼の復帰がチームに落ち着きをもたらした。
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ペドロ・ネト (7.5/10)スピードと突破力で常に脅威に。2点目の起点となるなど、攻撃のアクセントとして機能した。
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ロベルト・サンチェス (7.0/10)後半立ち上がりのビッグセーブを含め、クリーンシート達成に大きく貢献。
【エヴァートン】
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ジョーダン・ピックフォード (6.7/10)2失点は喫したが、それ以上の失点を防ぐセーブを連発。彼がいなければもっと大差がついていた可能性も。
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ジャック・グリーリッシュ (6.5/10)ボールを持てば違いを作ったが、周囲との連携が噛み合わず孤立する場面も。
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キーナン・デューズバリー=ホール (6.0/10)古巣対戦で気合が入っていたが、チェルシーの中盤の強度の前に主導権を握れず。
【監督コメント】
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「非常に重要な勝利だ。ここ数試合の結果には満足していなかったが、選手たちは今日、素晴らしいキャラクターを見せてくれた。コールの復帰は大きいが、今日はマロ(グスト)がスペシャルだったね。」
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デイヴィッド・モイーズ監督(エヴァートン):「前半の2失点が痛すぎた。特に終了間際の失点は避けるべきだった。後半は改善したが、ここ(スタンフォード・ブリッジ)で2点を追いつくのは容易ではない。」
戦術分析:マレスカの修正とインサイドハーフの役割
この試合、マレスカ監督は最近の停滞感を打破するために微調整を加えてきました。
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グストの偽SB化とパーマーのリンクマン通常、大外を使うグストがこの日は頻繁に中へ入り(インバート)、ボランチのような位置を取りました。これにより、本来トップ下のパーマーが高い位置に張り付くのではなく、少し降りてボールを受けるスペースが生まれました。先制点のシーンはまさに、グストが内側を駆け上がり、パーマーが空いたスペースを使った連携から生まれました。
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サイド攻撃のアイソレーション
一方、モイーズ監督のエヴァートンは、グリーリッシュとエンディアイの質的優位を生かそうとしましたが、チェルシーの即時奪回(ネガティブ・トランジション)の速さに苦しみました。特に中盤でのボールロストが多く、ショートカウンターを浴びる要因となりました。
ファンの反応
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「久しぶりの勝利!やっぱりパーマーがいると全然違うチームになるな。」
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「グストのあのシュート見たか!?ストライカー顔負けのゴラッソだ!」
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「クリーンシートが何より嬉しい。フォファナとチャロバーのコンビも安定してきた。」
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「エヴァートンはグリーリッシュを活かしきれてない気がする。もっと高い位置で持たせないと。」
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「モイーズ、頼むから次は勝ってくれ…残留争いには巻き込まれたくない。」
総評
チェルシーにとっては、これ以上ない形での「リスタート」となる勝利でした。怪我人の復帰、戦術的な修正の機能、そして無失点勝利。年末の過密日程(フェスティブ・ピリオド)に向けて、チームの士気は大きく向上するでしょう。一方のエヴァートンは、内容は悪くなかったものの、決定力の差と個のクオリティに屈した形です。次節以降、モイーズ監督が攻撃陣の組み合わせをどう修正してくるかが鍵となりそうです。
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